PEOPLE

自身の経験を生かして伝えるヨガ  8’marble yoga michikoさん

2021.09.21

【店名】8’marble yoga
【ジャンル】アクティビティ
【ご担当者】そえだみちこさん

「8’marble yoga」というヨガクラスを始め、町田シバヒロでもヨガイベントを開催したことがあるmichikoさん。

結婚を機に町田へ越してきたmichikoさんは、町田で子育てをし、町田でヨガの活動をスタートさせました。michikoさんにとって、ヨガとは? ヨガを始めたきっかけ、今後の目指すもの、そして20年以上暮らす町田についてお聞きしました。

選手として陸上に打ち込んだ学生~独身時代

michikoさんの出身は神奈川県二宮町。学生時代、陸上選手としての時間は二宮で過ごしていました。

「父がわりと本格的にマラソンをやっていた人で。今でいうエリート市民ランナーですね。その影響で私も自然と陸上競技をやるようになりました。高校は名門校というわけではなかったんですが、運よく卒業する際にある実業団からお声がかかって、そちらで約3年半、トラック競技や駅伝選手として走っていたんです。
いろんな大会や、神奈川県代表として駅伝に出たりもしていたんですけど、いわゆる戦力外通告っていうのを受けまして。その後は実業団がある会社で社員として5年ほど勤務していました。夫とは、その会社で知り合って結婚、町田に越してきました。町田を選んだのは、夫が町田出身だったこと、仕事のアクセスがよかったことが決め手でしたね」

子育てだけの生活に変化を与えてくれたヨガ

町田市に引っ越してきて子育てが始まって5年ほどたったころに心身に変化が現れます。子育てのストレスから体調を崩す事態に。そのとき、子育てだけに集中するという生活ではいけない、とライフスタイルのバランスを取るためにパートで仕事を始めることを選びます。初めてヨガに触れたのもその頃でした。

最初は美容と健康のため、ということでDVDを見ながらおうちでヨガを楽しむという日々でしたが、少しずつヨガへの比重が大きくなっていきます。

「ヨガを本格的に始めてからは、いい意味で自己本位ということが分かってきたような気がします。それまでは、自分というのがなくて、子育てにおいても、周りのためとか、そういうのが美徳だと勝手に思っていて、自分を犠牲にしていたんだと思います」

陸上をしている自分に区切りをつけられたのもこのころでした。

「それまでも、体を動かすということで芹ヶ谷公園などで走ってはいたんです。でも、やっぱり体がボロボロになっていて。ほとんど練習もせずに湘南国際マラソンというのに出たらもう大変でした。往路はよかったんですけど、コースを折り返してからは目の前が真っ白になって。とにかく足を出せば私はゴールできる、という思いひとつで進み続けて、4時間半ぐらいでゴールしました。
そのときに『ああもう私は走るのはいいかな』って執着が消えたんです。まだ私はやれるかも、私は走ることが好きなはず、って無意識のうちに思っていたんですね。それと同時にヨガへとスッと入ることができました」

子育て一色だったmichikoさんの生活が、仕事とヨガが加わることで少しずつ変わっていったのです。

アスリートとしての経験が生きるいまのヨガスタイル

michikoさんが「いい意味で自分本位」という考え方にたどり着いた理由は、今、ヨガをやっている上で核にもなっているウパニシャッドというインドの古くからある哲学です。古代インドの文献「ウパニシャッド」に基づく哲学で、内面的な思索を重視し、宇宙の根源と人間の本質は同一であると認識することを真理とする考え方だそう。

「仏教でも言われている世界と自分はひとつなんだ、という考え方なんですけど……。
罰当たりかもしれないんですけど、18歳のときまでは神様なんていないよ、って思っていたんです。でも、19歳ぐらいのときだったかな。実業団で走っているときに、『苦しいな。でももしかしたらみんなが言ってる神様って自分の中にもいるんじゃないかな』ってフッと思ったんです。八百万の神様って言いますけど、私の中にもあなたの中にも、みんなの中にも宿っているって思ったら、ちょっと楽になって。何かを拝むというわけではなく、より自分にベクトルを向けることで、解消されたような思いがあったんです。
その経験があったからこそ、違和感なくウパニシャッドの考え方を理解できたんだと思います」

「何かを目指すというより、自分を高めることに意味がある。いわゆる自分自身との戦いという言葉の通り、自分とは戦うものだと思っていたんですけど、敵ではなくて、手を取り合う相手が自分自身だ、って気がついた。だったらその相手である自分自身をもっと理解して、コントロールして、手綱を引いていかないと、と考えるようになりました」

その考え方は、今のmichikoさんのヨガスタイルにもつながっています。

いまmichikoさんが行っているのは町田市で行っているヨガクラスのほか、鶴川でヨガと陶芸のワークショップ、そして湘南で行っているアスリートのためのヨガです。

「ヨガの資格であるヨガアライアンスをとるには、講師としてレッスンを行わなければならない時間数が決まっていたので、そのために町田のママ友や、お店をやっている友達を誘って町田の公民館でレッスンを始めました。こちらは、今も月イチで必ずやっていて、公民館のほか、季節の良い時期は芹ヶ谷公園など公園で行っています。
アスリートのためのヨガは、湘南ベルマーレのコンディショニングセンターが平塚にできるということで求人に応募したのがきっかけ。自分が陸上をやっていたときに、もうちょっと自分を冷静に見られたり、緊張をほぐす術も知ることができたかもしれない。それをアスリートの方に伝えられたら。最初は手探りでしたが、少しずつ、口コミでアスリートの方が来てくれるようになって。言い方は悪いかもしれないですけど、今は実験させてもらっている感じです。感想も聞きながら、一緒にアスリートの方と作っていっています」

michikoさん自身、アスリートヨガに手ごたえを感じているそうです。その上で、受講するアスリートからのフィードバックをもとに、もっとできることはあるはずだと確信が深まっています。

「アスリートの方からのフィードバックでは夜眠れるようになったとか、自分の体の使い方、クセが分かってきた、という言葉が多かったですね。そういったことは副産物的なところではあるので、もう一歩進んで、ヨガでなにか掴みたいってアスリートの方が思ってくれるようなところまで私もスキルを磨かなきゃいけないな、と思っています」

町田ってなんなんだろう? という視点

自身が慣れ親しんだ二宮を離れての町田での暮らし。しかし、「もともと町田の出身ではないということはそんなに気にならなかった」と言います。

「町田で暮らすという選択をしたなら、楽しみたいと思って、子どもを介して参加できるコミュニティには足を運んでいましたね。PTAなども、がっつりではないけれど、できる範囲で関わって。自分が好きで繋がれるものから繋がっていこう、ママ友たちと骨董市に行ったり、アート系のワークショップに参加してみたり」

自分なりの方法で、町田での生活を楽しみ、居場所を見つけてきたmichikoさん。お子さんが成長してからは、ひとりの時間も増え、外食に行く機会も。そこで新たな人々との出会いもあり、輪は広がりつつあります。

ママとして、スポーツに携わる人として、イチ市民として、さまざまな立場から町田と関わっているmichikoさん。彼女にとって町田はどういう場所なのでしょうか。

「町田ってどういう街なのかな、って良く考えるんです。町田って人生のクッションとみたいだな、とか。今後の人生を考えるためのアイドリングタイムのための場所というか……本当に自分のやりたいこと、フィットするものって何かな、ってずっと町田で考えているんだと思います」

では、これからの町田についてはどうでしょうか。

「町田はアクセスが良いので、都内から、湘南から、いろんな場所から来てもらうことはできます。でもこれから、テレワークなどが進み、それぞれの街でさまざまなことが完結するようになったら、町田にわざわざ足を運ぶ理由ってなんだろうって。『町田だから』というものがないと、来てもらえませんよね。
そう考えたときに、個々が表現できるものが確立されている人たちが集まれるような場所になればいいんじゃないかなと思います。自分自身もそういう動きをしていければいいですね」

これまでの自身の経験を活かしたヨガの活動をしているmicihikoさん。そんなmicihikoさんの活動がこれからの町田の魅力のひとつになっていくはずです。

COLLABORATION PARTNER