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【レポート&動画】\RIDE ON シバヒロ 2022 始動!/ あつまれ町田のローカルプロジェクト 〜みんなで見つけるシバヒロの新しいつかい方〜

2023.03.31

▼イベント動画を視聴できます。レポートと合わせてお楽しみください

 2020年にスタートした「RIDE ONシバヒロ」は、「自由に使える公共空間であるシバヒロで、みんなの「やってみたい」を形にできる文化を作りたい」という思いで始まったプロジェクト。町田の人々の好きなこと、やってみたいことを募集して、シバヒロで実現していく取り組みです。過去にはYADOKARI株式会社が企画する野外上映や古本市などの定期開催イベントに「RIDE ON」して、ヨガ、天体観望会、読み聞かせ、ものづくりワークショップが開催されました。

そして2022年も「RIDE ONシバヒロ」が始動。1年間活動を行ってました。活動がひと段落したタイミングで、今期のキックオフとして開催された「あつまれ町田のローカルプロジェクト 〜みんなで見つけるシバヒロの新しいつかい方〜」の様子を振り返ります。町田でローカルプロジェクトを行う3名のゲスト、そして50名以上の参加者さんが集まったイベントの様子を是非お楽しみください。

ローカルプロジェクトを行う3名のゲストさん

ゲストにお迎えしたのは、街中に本棚を置く活動を行う「きんじょの本棚」の金城美由紀さん、「小野路やまいち」というローカルマルシェの実行委員長である清水祐介さん、「町田市100人カイギ」の発起人であり「投票所はあっちプロジェクトinまちだ」を行う北村友宏さんの3名です。まずはゲストの皆さんよりそれぞれの活動についてご紹介をいただいた後、みんなでシバヒロの新しい使い方を考えるトークセッションが行われました。また、今回のイベントには町田駅のお隣にある相模女子大学の学生、西海芽生さんがグラフィックレコーダーとして参加し、素敵な記録を残してくれました。

北村友宏さん@町田市100人カイギ

1人目のゲストトークは北村友宏さん。ご自身が携わる2つのローカルプロジェクトについてお話いただきました。

北村さん「「100人カイギ」とは、100人が一度に会すのではなく、5人のゲストを招いて全20回開催し、合計で100人になるという仕組みです。20回開催し終わると解散するのも特徴です。現在、全国約70箇所で開催されていて、地域単位だけでなく、『リハビリ100人会議』などジャンル別の会議も増えています。その地域や分野で活躍する面白い人の話を聞くことで、活動する人同士をつなぎ、ゆるやかなコミュニティを創ることを目的に活動しています。

町田市の100人カイギは新型コロナウイルスの第一波が落ち着いた頃に、街角で立ち話をする日常を取り戻せたらという思いでスタートしました。リアル開催を目指してはいますが、過去10回はスタッフとゲストだけが会場に集まり、参加者の方はオンラインでご視聴いただく形で開催しています。」


北村さん作成のコンセプトブックの一部。

 

北村さんは町田市100人カイギのこだわりを5つの言葉で表現しています。ゲストにのみお見せしているコンセプトブックを特別に公開しながらお話してくださいました。

北村さん「いつもメディアに取り上げられて話題になる場所”という枠を越えて、個性的だけど信頼できる人、小さくても魅力的な場所に目を向けたい。町田市100人カイギでは、考えるひとも、話すひとも、楽しむひともほどよく「ばらばら」にして、ひとりひとりがそれぞれの魅力を見つめられるようにしています。ゲストとして話すというと講演会的なものがイメージされがちですが、友達が集まって雑談をするような気軽さで「がやがや」とした会話を楽しんでいます。


町田市100人カイギVol.9の様子

 

参加者の方にはただ話を聞いて終わりではなく、この人に会いに行きたい!という「わくわく」した気持ちを持ってほしいと思っています。月に1度のカイギだけが「100人カイギ」ではなく、これをきっかけに紹介されたイベントや場に足を運んでみる。そういうまちへの広がりも含めて「100人カイギ」だと思っています。そしてゲストに来てくれた人と街中で「ばったり」会ったら、雑談の続きのように立ち話を始めてほしい。20回のカイギを終える頃には、会いたい人、会ったら立ち話できる人がたくさんできていて、気付けば「のんびり」と馴染みの街で過ごしている。「町田100人カイギ」が解散した後に、声高に「町田が好き!」と宣言するのではなく、ごく自然に町田を楽しむ空気ができていてほしいです。」

投票所はあっちプロジェクトinまちだ

続いてご紹介いただいたのは、「投票所はあっちプロジェクト」。2006年横浜市長選の時に地元有志が投票率向上のために行った活動を参考に、2016年から映像作家・カフェ経営者たちが現在の名称でスタートさせた活動で、全国15か所で実施されているそうです。北村さんは2021年10月の衆院選、2022年2月の町田市議選の期間に「投票所はあっち」の矢印を持った250名以上の町田の方々の写真を撮影しました。

北村さん「この矢印は正確な方向を向いていなくても良いんです。政治のことって話題にしにくいけど写真がおもしろかったら話題の入口が変わるのかなという想いで、選挙に行くきっかけになるようにやっています。もともとは投票率向上を目的に始まったプロジェクトですが、次第に自分たちの権利を再確認するような活動へと変わってきています。

100人カイギと全然違う活動に見えてこだわっているところは同じで、会いたいひとを訪ねて会いにいく…その時間も楽しむのが、僕の地元との関わり方です。地元の人たちと関係性を積み重ねるようにして活動を続けています。」

投票所はあっちプロジェクト in まちだのInstagramはこちら!
https://www.instagram.com/touhyoacch.machida/

まちにいる「人」との出会いや関係性を何よりも大切に活動をしている北村さん。まちを楽しむというのは、まちにいる「人」を大切に思うことなのかもしれませんね!

清水祐介さん@小野路やまいち

続いてお話いただいたのは「小野路やまいち」実行委員長を務める清水祐介さん。小野路やまいちをきっかけにこの地域に惹かれ、本業であるインテリアデザインの事務所を小野路に借りているそうです。(今回のオンラインイベントは清水さんの事務所に集まって配信されました!)

小野路やまいちとの関わりは、2014年に保育園のお父さん仲間と出展したのが始まりだったそう。子どもたちの思い出になるようにとワークショップを開催したそうですが、やまいちに感銘を受け、次の年から実行委員として携わるようになったと言います。

清水さん「やまいちの会場がある下堤地区の周辺は、家具職人、彫刻家、ギター職人など作家や職人が多いエリアです。小野路やまいちは、地域のどんど焼きの最中の『この豊かな自然のなかで何かできないか』という会話からスタートしました。会場は地主さんの私有地で、かつてはアーチェリー場として使われていた山の中の広大なスペースです。長年使われていなかったこの場所を貸していただく代わりに草刈りをするところから始まりました。

やまいちが終わると次の開催まで使用されることはないので、毎年草刈りからスタートしているのですが、みんなで汗水流して用意する会場は思い入れが強く、メンバーで協力しながらやまいちを作り上げています。」

出展者さんによる物販やワークショップ、ライブなどが開催される「小野路のお祭り」であるやまいちには、この会場ならではのコンセプトがあるそうです。

清水さん「やまいちは、作家さんと対話をすることで制作過程を知ってもらえたらいいな、自然のなかで木のぬくもりや土の匂いを感じながらものを買える場があればいいなというコンセプトで開催をしています。買い物に会話という工程があることで、ものに対する愛着が生まれ長く使いたいという気持ちを持ってもらえるのではないかと考えています。町田近辺で作家活動をしている方を応援したいという気持ちがあるので、町田や相模原、多摩エリアの方限定で出展してもらっています。

出展者さんとの交流も大切にしたいので、設営期間に会場で交流会を行い、どんなものを作っているのかなど話をする場を設けています。僕はこれがすごくいいなと思っていて、出展者同士の横のつながりもできるし、また参加したいと思ってもらえるきっかけになっているのではと感じています。」

清水さん「第6回目となる2017年には、1日に2000人近くが訪れるイベントに成長していました。2018年には竹でライブスペースを手作りし、地元のミュージシャンがライブをして盛り上がりました。コロナの影響で3年連続で開催できていないのですが、2023年こそは開催したいと思っています。」

参加者の方が自由に書き込めるチャットには「作家さんに会うと、ものにストーリーを感じて愛おしくなりますね」、「2022は開催見送りだったのですね…2023楽しみにしてます!」などのコメントが寄せられていました!自粛の期間を経て、パワーアップしたやまいちが帰ってくる日が楽しみですね!

きんじょの本棚

続いてお話いただいたのは、まちに本棚を設置するプロジェクト「きんじょの本棚」の金城美由紀さん。市内4箇所から始まった取り組みは町田を中心にどんどんその輪を広げていき、現在は全国100ヶ所以上に展開しています。

きんじょの本棚の特徴は、100ヶ所以上ある本棚の「どこで借りてどこで返してもいい」こと。どこから来た本か分かるようにシールを貼って付番をする以外、ルールは何もありません。本棚はいつでもだれでもどこでも始めることができ、自宅前やお店の一角などに好きな本やおすすめの本を、貸し出し期限や冊数制限もなく自由に貸し出しをしています。(今回のイベント登壇者である北村さんも店主さんをしているそうです!)

金城さん「きんじょの本棚の魅力は個性的な店主さんです。本棚も選書も個性的で、伸し餅を伸すときに使うひらべったい箱を本棚にしていたり、横浜の埋め立て地である吉田新田が大好きだという地元の大学生グループが吉田新田の形をした本棚を自転車で引いていたり、子どもと公園に行くときにバイクのカブに載せて本棚を持って行ったり、100人カイギにも参加していた小学生がパン屋の軒先に出店して登下校中に本棚を見守っていたり、高校生のお兄ちゃんが設計して小学生の弟が本棚を組み立てていたり、皆さん本当に自由に、好きな形できんじょの本棚を始めています。場所や地域も様々で、飲食店、寺院、教会、幼稚園、そして愛知や四国、沖縄のビーチにも本棚が置かれています。」

『本が好きで、本を読む人が好き』という想いが、きんじょの本棚を始めたきっかけだと言います。

金城さん「『何の本を読んでるの?』と聞くのが大好きなので、だったら自分の家の前に本棚を置いてみればいいんだ!という想いから始まりました。自宅の前から始まり、近所に4軒ほど出店したのですが1年半くらいは誰にも借りられず、2020年4月にコロナ禍で街がロックダウンしてしまいました。

飲食店が慣れないテイクアウト営業で苦戦しているなか、お料理を待っている間に本を手に取ってくれるかな?という思いでなかまちパンというお店に本棚を置いてみました。そうすると本を返すついでにお店をリピートするようになって、その仕組みを面白がってくれる人の中で伝播していきました。」

少しずつ本棚が増えていくと、自分もやりたいという声があがったり、メディアに取り上げられたりと、思いがけず活動が広がっていったそう。家の前に本を置くといういたって簡単な方法で始められることもあり、2021年は1年間でなんと約70店も本棚が増えました。街に本棚が定着することによって、色々なおもしろい出来事が起きるようになったと言います。

金城さん「雨が降り始めた時にSNSで、『今みるく店の前を通ったけど雨で本が濡れています!自分は車を降りられないけど誰か近くを通ったら本にカバーをかけてあげてください!』と投稿されて、それを見てた人が本棚にカバーをかけて『カバーかけました』と投稿するという投稿のリレーが生まれたこともありました。」

SNSを活用しているのもきんじょの本棚の特徴で、「◯◯店の本、今ここに漂着しています」と投稿し『自分の本は今あんな所まで行っているんだ』と分かるようにしたり、おすすめとして投稿された本を予約できるようにしているそうです。ルールがなく自由に本棚を設置しているなかにも、同じ本を愛する人同士で一体感を感じられるような仕掛けがあるのはとても素敵ですね!

トークセッション

◯活動の始め方について(仲間の集め方や活動を始めるにあたって一歩踏み出す原動力などはありますか?)

北山さん「町田はある程度の人の繋がりができているけれどジャンルを越えて混ざり合っていないのがすごく気になっていたので、100人カイギを始めたときに、特定のコミュニティの活動だと思われてしまうとつまらないなと思っていました。なので最初のスタッフは人脈が重ならないことを狙って、それぞれに面識のない4人に声をかけました。

ただ、何かをやっている人は『うっかり始めちゃった』という要素が多少なりともあるように思うんです。なのでそれくらい魅了されるような、『つい動いちゃった』という要素があればいいんじゃないかと思います。」

清水さん「僕はやまいちを作っている人と仲間になりたい、素敵なことをやっている人たちの輪に入って友達になりたいという気持ちで、思い切って『やらせてください、手伝いたいです』とお願いしました。自分から何かを起こすのは得意ではないけれど、素敵だと感じたところにRIDE ONするのは得意だと思います。」

金城さん「まずはあまり考えずにやってみちゃうんだよね。考えるとできないから、やるんだーって触れ回らずに、どうせ試しにやってるから、自己満足だから、という気持ちでコソっと試しに始めちゃう。それで見た人がワクワクしなかったら方法を間違えてると思うんです。いきなり大々的に始めるとやり方は変えにくいけど、コソっと始めていればがやり方をすぐ変えられるので、まずは始めて方法を変えながらやっていくと良いと思います。」

◯シバヒロにあったらいいなと思うものやシバヒロでやってみたいことはありますか?

清水さん「今回のイベントのお話をいただくまで、シバヒロは有料のイベントスペースだと思っていました。なので自由に使える場であることが分かるよう、ベンチや日避けの屋根を設置するなどもう少し公園の要素があると良いのではと思います。休めるスペースがあったら普段から使えて、普段使っている人がイベントで使うようになると、どんどん賑わいが広がっていくと思います。」

北村さん「ものや場所やコンセプトよりも人が核になることが多いと思うので、『シバヒロにいつもあの人いるね』というようになると良いのではと思います。『あの人に会いに行く』という気持ちは動機として強いと思うので、『よく会えるあの人』、『毎月第1月曜日に活動しているコミュニティ』といった存在がいたら、足を運ぶきっかけになる気がします。喫茶店でマスターを介してお客同士の関係が広がるように、人がいることで人が繋がっていくと思います。」

金城さん「私はアーシング(裸足で芝生に立つ)が好きで、シバヒロには『何もしない』をしに行きたいんです。だけど誰もいない状態ではなく視界のなかに楽しく過ごしている人がいてほしいので、日替わりで駄菓子を売っているおばあちゃんがいたり、ちょっとした悩みを話せる子育ての先輩がいたら良いなと思います。深く知らない人だからこそ相談できることもあると思うので、井戸端会議が生まれる場所になったら良いですね。」

清水さん「お店として誰でも使えるテントがあるといいかも。お店を構えるのは勇気が必要でなかなか踏み出せないと思いますが、気軽に出店できるスペースがあれば挑戦できる。そしてお店が開いていれば、井戸端会議が生まれたり、『今日はあのお店の人に会いに行こう』となっていくのではと思います。」

北村さん「花火はできないですかね?近い距離から打ち上げると真上から花火が降ってくるように見えるので、隣にある小学校の屋上から花火を打ち上げて、シバヒロから見上げることができたらおもしろそうですよね。」

金城さん「私はやっぱり本をきっかけに色々なことができそうだなと思っていて、持参した本がチケット代わりになる本の交換会のようなイベントができたら楽しそうだなと思います。」

こちらのトークセッションも、西海さんが素敵なグラフィックレコーディングを残してくれたのでぜひチェックしてみてください!何もないからこそ、好きなこと、やってみたいことを自由に形にできる。ゲストのお三方の自由な発想に触れたことで、『自分はシバヒロで何をしてみたいか』を考えるきっかけになったのではないでしょうか?

ワクワクすることをシバヒロでやってみよう!

チャットには、「何か面白いことをやってみたい気持ちになりました!ワクワクするお話しありがとうございました!」といったコメントや、シバヒロでやってみたいことのアイデアなどたくさんのコメントが寄せられていました。

RIDE ONシバヒロFacebookグループでは、シバヒロで実施してみたいRIDE ONを募集しているので、この場所で形にしたいワクワクを持っている方はぜひグループに参加してみてください!

RIDE ONシバヒロFacebook
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