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【レポート】\MACHIDA BOOK PICNIC/ 町田一箱古本市 Vol.7 〜芝生で広がる読書の秋!本とあなたと、めぐりあい〜

2022.12.20

総面積5700㎡にもなる「町田シバヒロ」。町田駅から徒歩5分の場所にあり、住民のみなさんの憩いの場所ともなっています。

そんなシバヒロで11月3日、町田一箱古本市が行われました。今回が第7回目となる人気のイベントです!たくさんの本、そして新たなコンテンツも多くある充実のイベントの模様をご紹介します。

■個性溢れる古本市

とびきりの青空が広がった11月3日、文化の日。

この日はシバヒロで町田市観光コンベンション協会主催の「町田シバヒロマルシェ」も開催されているということもあって、大きな賑わいを見せていました。

出店者のみなさんも、イベントスタート前から準備に余念がありません。

今回、出店してくださった店舗の中から、個性あふれる出店者をご紹介します。

まずは「ぱぴぷぺ本!」さん。小説から絵本まで、幅広いラインナップとなっています。

「教員をやっていて学級文庫に置いてあった絵本などでもう使わないものを持ってきました。古本市はFacebookで見つけて、何度か応募していたんですけど、毎回雨天中止で。やっと初めて来られました。念願の初参加です」とにっこり。

たくさんのお子さんたちが絵本を手にとっていました。

笠が素敵な店主さんがいらっしゃるのは「良太郎」さん。コンセプトは「村上春樹」です。

「村上春樹が大好きなんです。読んでいるとリラックスできます。小説以外で持ってきました。エッセイとか、翻訳本ですね。おもしろいですよ」

村上春樹愛があふれるお店となっていました。

「キャンドルスティック・パーク」さんでは、洋書の大型写真集がズラリ!

本の表紙には店主さんのオススメコメントが一言ずつ添えられていて、こだわりが感じられます。ご両親が洋書を読まれるそうで、その整理も兼ねてなのだとか。店主さんご自身も歴史の研究者さんだそうで、洋書を読むことは多いと言います。

1冊の本に心惹かれてお話を聞いてみると、「これはチャールズ皇太子の庭園で撮った写真集なんですよ。チャールズ皇太子は自然保護をとても大事にしていて農業やオーガニックブランドなど、いろいろやっている人なんです」と丁寧に教えてくださいました。1冊の本から世界が広がりそうです!

こちらは「絵宙屋」さん。いつも星空シバヒロピクニックで段ボールで作るプラネタリウムのワークショップを開催してくださっている江川さんのお店です。

「名前のとおり、絵本と宇宙の本なんですけど、もともと仕事の中で買いためていた本がたくさんあって。そこからオススメできるものを持ってきています」

全ての本にタグでオススメポイントが書かれているのも素敵です。

「ちゃんとどういうところがオススメなのか言えるように、と思って」とのこと。実際に江川さんが制作に携わったものも……!

そんな「絵宙屋」さんのお隣は「くじら書房」さん。「FULL MOON」というタイトルの大判書籍が目を引きます。

今回、一箱古本市に初参加だそう。

「わりと科学系が好きでそのあたりの本と、デザイナーをやっているので、デザイン系の本が中心です。とは言え、あまりジャンルは問わず、幅広くなっています。本が好きで、本屋も好きだったので、本屋自体にも憧れがあったんです。1回こういうこともやってみたいな、と思っていたので、参加できてよかったです」

続いてはものづくりが好きな人たちのお店「くくる文庫」。

こちらのお店は一味違う本が。元々あった本を「すべて仕立て直しています」とのこと。こだわりの仕上がりになっているのです。

しっかりとした装丁ですっかり雰囲気が変わっています。

「布のものもあるし、紙の装丁のものもあります。手染めの紙のものもあるんですけど、たまに奇跡のような綺麗なものができることもあるんですよ。同じものはもう二度とできないんです。古本市だから、やっぱり古本じゃないと、と思ったんですけど、製本を習っているし、と。実は、こういう形のものを出してもいいですか、と問い合わせもしたんです」

その瞬間しかできないもの、作り手の個性が出る表紙となっています。買った方にとっても世界に1冊だけの本になるのは素敵ですね。

こちらは「bye-bye-books」さん。そのお店の名前の通り、「そろそろ手放そうかな、という本を持ってきました」とのこと。

たまたまネットで知って参加されたのだそう。実はこういったイベントに出店されるのも初めてだと言います。店主さんの好きなタイプの作品が感じられるラインナップに、足を止めて、話に花が咲いている場面も。初めての参加、良い体験になっていますように!

親子で参加してくださったのは「どんぐり文庫」さん。

家にあったものを持ってきた、とのことですがラインナップもバラエティに富んでいます。

こういうイベントに参加するのも初めてなのだそう。

「家にあったものをフル活用して準備しました!本当は、どういう本なのかそれぞれ解説をつけたかったんですけど、時間がなくて諦めました」

もしかすると、次回はさらにパワーアップしてご参加いただけるかも!?

最後にご紹介するのは「旅する本屋七生BOOKS」

「自分自身も旅をするんですけど、旅をコンセプトにした本を持ってきています」とのことで、旅の本はもちろん、団地のリノベの本なども。

かわいい雑貨も置いてあり、マカロニで作ったブレスレットを大人買いするお客さんもいらっしゃいました!

 

■青空の下で護身術を学ぶ

この日のMACHIDA BOOK PICNICではコンテンツも盛りだくさん!

ひとつめは「芝生道場!はじめての護身術」。芝生の上で、裸足で護身術を教わります!

教えてくださるのは、この日、古本市にも出店してくださっていた円満尚平さん。円満さんは横浜日ノ出町で護身術道場を主宰していらっしゃいます。

護身術と聞くと、普段、あまり体を動かさない人にはハードルが高いように感じてしまいますが、そういう方にこそ体験してほしいものだと言います。

ということで、年齢性別問わず、たくさんの方が参加してくださいました。

今回、教えていただくのは護身術は3種類。

手を掴む、引っ張る、など動作自体は簡単です。きっちりとした「型」が決まっているわけではありませんが、ちょっとしたコツが大事になってくるようです。

まずは円満さんのお手本を見て、参加者のみなさんも実践していきます。

最初は見よう見まねでこわごわ……といった様子で取り組むみなさん。

でも、円満さんがアドバイスしたり、実際にやって見せたり、というところで少しずつ思い切った動きができるようになっていきます。

最初は難しいのでは?と感じていた動きも、体の仕組みや、てこの原理など、理にかなったものなのだな、ということがわかります。また、お手本通りに自分の体が動かされると爽快感も! 終盤になるにつれて、参加者のみなさんに笑顔が溢れるようになっていきました。

プログラムを終えて、円満さんにお話を伺いました。

「すごく楽しかったです!普段から道場で教えていますが、こんなに大人数は初めて(笑)。普段から、あまりやっているところを見てもらうこともないので。道場までは行かないけど、こういうシバヒロみたいな場所でやるなら挑戦してみたいなという人が触れられる絶好の機会だったな、と思います」

参加者の方からは「またやってほしい!」という声も聞かれ、第2回の開催にも期待が高まります。

 

■本をきっかけに考えを深める哲学タイム

もうひとつのプログラムは「まちいろダイアログ 絵本でてつがくカフェ体験♪」

こちらは、絵本をきっかけにした哲学対話を体験することができます。

何気なく読んでいる、読んであげている絵本です。でも、ひとつだけでも疑問に思って考えてみると、思いもよらない深い世界へと潜っていくことができます。

今回は、それをひとりで考えるのではなく、ほかの人と一緒に深めていきます。

主催してくださったのは、みつまめ(ふみひら みつこ)さん。普段からときどき哲学カフェを開いていらっしゃいます。

イベントのルールは簡単。みんなで一緒に絵本を読み、ボールを持っている人が話す、というもの。話しても、話さなくてもOKです。わからないことも気軽に質問して問題ありません。まずはそれぞれ自己紹介です。中には、今日初めてシバヒロに来たという方も。

この日、取り上げた絵本は『かいじゅうたちのいるところ』。

みつまめさんの読み聞かせに皆さん耳を傾けます。それからは、絵本のストーリーについてそれぞれ考えていきます。

みつまめさんが考えて来てくださったいくつかのテーマの中から「王様になるのとお母さんと一緒に過ごすのとではどっちがいい?」をチョイス。そこから、それぞれが考えを深めていきます。

誰かがひとつ意見を言ったからと言って、それが全てではありません。その意見に他の人が意見を述べて、また別の誰かが……とどんどんテーマが掘り下げられていきます。そして、気づけば、想像もしなかったところに話が着地していたり。これが哲学カフェのおもしろいところかもしれません。

プログラム終了後に、今回ファシリテーターをしてくださった、みつまめさんとほりほりさんにお話を伺いました。

「普段はもっと時間があるので、絵本を読んで感想をみなさんに伺いながら、その感想から疑問を作っていくんですけど、今日は1時間バージョンにしたので、問いはいくつか用意していました。そして対話の流れで出てきた新しい疑問はちょっと取り上げていく形に。

出発点は絵本なんですけど、気になるところを掘り下げるのも自由ですし、哲学対話っていつも最初の出発点と最後の話題が全く違うこととかも結構あったりするので、参加してくださった方もいろんなことに思いを巡らせることができたかな、と思います」とみつまめさん。ほりほりさんも「急遽、参加してくださった方もいてよかったです。人が話しているときはきちんと聞くというルールがあるので、聞いてくれているという安心感があるのもいいのかな、と思います」。

 

■町田みんな堂書店がシバヒロに!

今回は町田エリアで本を通した賑わいづくりの活動をしているグループ「町田みんな堂書店」さんが特別ブース「町田みんな堂書店・シバヒロ出張所」を出店!

過去のMACHIDA BOOK PICNICでもイベントを盛り上げてくださった鈴木 由香さんと、きんじょう みゆきさんが来てくださいました。

シバヒロ出張所では、「あなたと店主のめぐりあわせ所」、絵本を鈴木さんに読んでもらえる「『はい!よろこんで』の本屋さん」、「本から始まるおしゃべりスペース」、お二人が持ってきた本が並ぶ「町田みんな堂書店の本棚」を展開。

イベントに参加されてみての感想をお2人にお伺いしました。

鈴木さんは「自分でも本を持ってきていたんですけど、本の説明をしてそれを売るというよりは、交流のほうが楽しくて。だいたいおしゃべりで盛り上がるんですけど、絵本談義に花が咲いて。町田は地元なので、知り合いが会いに来てくれたり、おしゃべりしに来てくれたのがすごく嬉しかったですね」とにっこり。

護身術など古本市のイベントにたくさん参加していらっしゃったきんじょうさんは、「(ブースを)ほとんど留守にしてしまっていて。でも、鈴木さんは『想定内、想定内』と笑って言ってくれています(笑)。いろんな方とお話もできて、すごく楽しかったです!」と充実した笑顔を見せてくださいました。

 

秋晴れの中で行われた町田一箱古本市。「いつも、行きたい、参加したいと思っているんですけど、雨のことが多くて……」という声も多く聞かれ、待望の開催となったのかもしれません。

大盛り上がりのまま終わった古本市。みなさんに、素敵な1冊との出会いがあったなら幸いです!

 

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