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【アフターレポート】MACHIDA BOOK PICNIC〜一箱古本市、紙芝居、文っ字フリマpopupも!

2024.03.29

移転した市役所の跡地に建てられた5700㎡の広大な芝生の広場「町田シバヒロ」。子どもたちの遊び場として使われたり、さまざまなイベントが開催されたり、町田に住む方々にとって馴染み深い場所となっています。

春の気配が近づいてきた3月2日(土)には、「本」をテーマにシバヒロを楽しむイベント「MACHIDA BOOK PICNIC」が開催されました。”みかん箱一箱分”の本があれば誰でも出店できる町田一箱古本市、身体を動かしながら楽しむ紙芝居、町田市民文学館ことばらんどとのコラボレーション、そしてキッチンカーの出店など、文化・運動・食がミックスしたイベント当日の様子をお伝えします。

町田一箱古本市 Vol.9

2019年11月以降開催を重ねてきた町田の一箱古本市。今回で第9回目を迎え、過去最多の21組の方々が出店してくれました。10冊の古本があれば誰でも無料で出店できるというハードルの低さから、古本市初挑戦の方が参加しやすいのが町田一箱古本市の特徴。今回も初めて古本市に参加したという出店者さんがたくさんいらっしゃいました。

初めての出店にドキドキしながら店名を考えたり、販売する本に一言メッセージを添えたりと、古本市ならではの工夫を凝らしたブースも多数。シバヒロに集った個性豊かな店主さんの一部をご紹介します!

入夢(イルム)書店 JH

今回最年少で参加してくれたのは、「入夢(イルム)書店 JH」の10歳の店主さん。お母さんと共に初めての古本市に出店してくれました。素敵な絵が添えられたポップや値札はすべて店主の手作りなんだとか。ブースを見ているお客さんに元気に声をかけたり、イベント終了時刻が近づくとセットで販売価格を値引きしたりと、大人顔負けの接客で古本市を盛り上げていました。

店主さん「自分は本が好きで、おうちに本が溢れちゃっているので、それを皆さんに新しいおうちで優しくしてもらおうと思って出店しました。お母さんに言われるまで古本市というものは知りませんでしたが、話を聞いて興味がわいたので、挑戦することにしました。お店の名前は、おうちで飼っていた犬の名前です。少し前にお空にいってしまったので、その名前にあやかって決めました。初めての古本市ではいろいろな方と触れ合えてとても楽しかったです。」

冬の木堂書店

詩や和歌に関連する本を中心に出店していたのが、冬の木堂書店さん。こちらも古本市初出店で、長年住んでいる町田に関わることをしたいと今回のイベントに参加してくれました。

店主さん「結婚を機に町田に移り住んで数十年になりますが、朝7時に家を出て夜は7時過ぎに帰ってくるという仕事ばかりの生活で、ほとんど地元にいない日々を過ごしてきました。今まで地域との関わりをないがしろにしていましたが、定年退職が近づく年齢になり、町田に住んでいるのだから町田のイベントに関わっていこうという思いが出てきて。町田に少しでも関わることができて、自分でもできるものがあるならばやってみようという思いで、今回の古本市に参加してみました。初めての古本市出店なので(本が売れるという)期待はしないようにしようと思って来ましたが、本を見てくれる人、買ってくれる人が意外といて、とてもありがたく思っています。」

ISBbooks

古本市初挑戦の方だけでなく、長らく新刊書店で働いている方、本にまつわるワークショップや読書会を自主開催している方、絵本が大好きで絵本専門士の資格を取得した方など、本に関わるお仕事や活動をしている方々も多数出店!回数を重ねてきた町田一箱古本市への関心が高まっていることを感じます。

ISBbooksの店主さんもその一人で、一箱古本市やZINEフェス、オンラインショップなどで個人で本を販売する活動をしているそうです。

店主さん「今まで仕事では雑貨や家具の販売などをしてきましたが、どれもすぐに飽きてしまって。年齢を重ねても唯一飽きなかったのが本なので、これだったら続けられるだろうと思い、本職とは別で個人でオンライン書店を運営しています。今回は古本に加えて、書店で扱っているZINEも販売してみました。浮いてしまうかなという不安もありましたが、興味を持って手にとってくださる方がいて嬉しかったです。町田には小田急線で1本で来れるところに住んでいて、今日初めてシバヒロに来ました。到着した頃には既に子どもたちが遊んでいて、地元の子たちにとって休日に集まる馴染みの場所なんだなと雰囲気の良さを感じました。」

書肆うぐいすなく(黄鶯睍睆)

町田在住の知人のSNSを見て、出版を教えている大学教授の方も古本市に初出店!一つひとつの本を丁寧に解説してくださり、お客さんと積極的にコミュニケーションをとる姿が印象的でした。

店主さん「出版について教える仕事をしているので、語るだけではなく自分でも体験しなければと思い、シェア型本棚に出品するなど本のイベントに参加するようにしています。一箱古本市に出店するのは今回が初めてですが、実際に参加するのは面白いですね。店名はシェア型本棚に出品しているときのもので、自分の誕生日の七十二候『黄鶯睍睆(うぐいすなく)』に由来しています。

昨今はシェア型本棚や個人書店、独立系書店が増えメディアなどでも取り上げられていますが、総数としては全国的に書店は著しく減少しています。全国の4分の1の市町村には書店が1店もないという状況なんです。このように書店が減少しているなかでも、人々は本を読んでいて、本が好きな人たちは変わらずにいる。なのでこのようなイベントをぜひ毎月でもどんどんやってほしいなと思います。」

古本市を訪れたお客さんはもちろん、店主さん同士でもお互いのブースを行き来しており、各所で「本トーク」に花が咲いた第9回目の一箱古本市。「本が好き」という共通点で集まった方々がゆったりと交流する温かい空間となりました。

「町田市民文学館ことばらんど」コラボレーション Pop up

MACHIDA BOOK PICNICの魅力は古本市だけではありません。今回は町田駅から徒歩5分のところにある「町田市民文学館ことばらんど」と初のコラボレーションを実施しました!町田市民文学館ことばらんどは、ことばや文学の魅力に出会う場所、そして市民の文学活動の拠点を目指して、展覧会やイベント、図書館と連携した本の貸出などを行う市の文化施設です。

3/30(土)には、「文字」にまつわるオリジナル作品を販売するフリーマーケット「文ッ字フリマ」を開催予定。今回のMACHIDA BOOK PICNICでは、「文っ字フリマSatellite」や文学館の展覧会の魅力がわかるブースを出展していただきました。

文学館学芸員さん「文学館でイベントやフリーマーケットをすることは多いですが、外に出ていく経験はほとんどないので、今回お呼びいただき新しい経験ができました。今日のイベントをきっかけに文学館に足を運んでくださる方がいたり、横の繋がりが広がっていったら良いなと思います。

文ッ字フリマは、日本全国から文字をデザインしているプロ・セミプロのアーティストやデザイナーさんが集まるので、来ていただければ必ず面白いものが見つかると思います。なかには西日本を拠点に活動していて、東京のイベントに出店する機会がほとんどないというアーティストの方もいらっしゃるので、知らなかったアーティストにリアルな場で出会えるのが見所ではないかと思っています。」

▼「文ッ字フリマの詳細はこちら
https://mojiflea.market/

リピーター多数!紙芝居読み聞かせ

前回のMACHIDA BOOK PICNICに続いて、今回も町田・鶴川団地から紙芝居のお兄さんとお姉さんが登場!鶴川団地をはじめさまざまな場所で紙芝居や絵本の読み聞かせをしている石橋さんと鈴木さんが、全3回の紙芝居タイムを行い今回もシバヒロを盛り上げてくれました。

おすすめの詩や絵本の読み聞かせがあったり、しっかりお話に耳を傾けたい紙芝居があったり、リズムに合わせて身体を動かす紙芝居があったりと、連続して参加しても飽きないラインナップが用意されており、連続して参加するお子さんも多数。なかには前回のMACHIDA BOOK PICNICに参加しており、身体を動かす紙芝居では「みなさん一緒にどうぞ」という鈴木さんのかけ声の前にノリノリで動き出している子も。

肌寒くなってきた時間帯にはテントに集まった子どもたちだけでなく、テントの向こう側にいる古本市の店主さんも石橋さんのかけ声に合わせてみんなでジャンプ!イベント全体が一体となる温かい時間が生まれていました。

石橋さん「前回のMACHIDA BOOK PICNICで身体を動かす紙芝居をやったときに、ヘビさんダンスをいたく気に入ってくれた子が、今日もイベントがあることを知って遊びに来てくれたんです。前回参加してくれた後から家でもずっとヘビさんダンスをやっていて、おじいちゃんおばあちゃんにもわざわざ披露しに行ったそうです。こういった繋がりが生まれるのが、同じ場所でイベントを続ける良いところだなと感じました。」

鈴木さん「チラシを配っていたときに、『前回の読み聞かせのお姉さんですよね』と気付いて声をかけてくださった方がいたんです。「また読み聞かせを聞きに来たんです」と言ってくださったのが嬉しかったですね。鶴川団地のセントラル商店街でも、これからも読み聞かせをやっていけたら良いねと話をしているので、小さくても続けていけたらいいなと思っています。」

キッチンカーも出店!

芝生時間をゆったりと楽しめるよう、2台のキッチンカーも出店!シンプルかつオシャレなディスプレイが特徴のキッチンカー「39Cafe Tokyo」は、味だけでなく見た目も楽しめる華やかなクレープを販売していました。

全国の契約農家さんから仕入れている新鮮ないちごを使ったデコレーションクレープが大人気でした!

ホッと一息できる温かいコーヒーを提供していたのは、「CAFE SABOR by MAMEGEN Marketing」。東京・神奈川を中心に、スペシャルティ豆を使ったコーヒーを提供しているキッチンカーです。今回はMACHIDA BOOK PICNICに合わせて、特別に古本販売も実施!Books&Cafeとして出店してくださいました。

店主さん「お客さんとお話できたのがとても嬉しかったです。こ美術館のガイドブックを買ってくださった方が、コーヒーを飲みながら芝生でその本を読んでいて、『本に出てきた町田の美術館に今から行くことにしました!』と去っていかれたんです。今日は町田や相模大野に関係する古本も持ってきていたので、そういう楽しみ方をしていただけたのがとても嬉しかったですね。出店している人もお客さんもお互い得した気分を味わえるのがすごく良いイベントだなと思いました。一般の方が一箱で出店していていろいろなジャンルの本があるのが面白かったので、また機会があればぜひ参加したいですし、知り合いにも『行ってみて』と勧めたくなるイベントでした。」

シバヒロでゆるやかな繋がりを育む

2019年11月にスタートした町田一箱古本市。本好きの方、文学好きの方がRIDE ONしてくださり、さまざまな企画を掛け合わせたMACHIDA BOOK PICNICへと成長しました。「以前参加したときの人との繋がりがおもしろくてまた参加しました」というリピーターの方も多く、イベントを楽しんでくださる方々によって育まれてきたイベントであることを感じます。

本名も連絡先も知らないけれど、シバヒロの古本市に来たらあの人に会える。そんなゆるやかな繋がりをつくり続けることが、地域への愛着を生む第一歩になるのかもしれません。

これからもシバヒロが、町田に関わる人たちがやりたいことに挑戦できる場、そして人と人との優しい繋がりが育まれる場でありますように。そんな風に感じる、2023年度最後のMACHIDA BOOK PICNICでした。

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