REPORT

市民参加型実証実験イベント 「Future Park Lab(フューチャーパークラボ) 2024 Spring」レポート

2024.03.29

JR町田駅から徒歩10分ほどのところにある「芹ヶ谷公園」。総面積約14ヘクタール!自然の森や谷を活かして作られた広大な公園です。

そんな芹ヶ谷公園が目指すのは、新しい体験型の公園“パークミュージアム”。多様な文化芸術活動や公園の豊かな自然を体験し、学び、楽しむことができる公園です。
体験型の公園ってどんな空間なんでしょうか?
3月2日(土)、“パークミュージアム”を実際に想像し、創造してみる市民参加型の実証実験イベント「Future Park Lab(フューチャーパークラボ) 2024 Spring」が行われました。朝10時から公園のいたる場所でイベントが展開され、沢山の人で賑わった、その1日の様子をレポ―トします。

木材×デジタル技術でオリジナルの作品を作ろう!

現在、玉川大学では、学内の木を活用した「Tamagawa Mukurin project」を行っており、この日も工学部と農学部の企画が行われていました。
多目的広場で行われていたのは玉川大学工学部による「木材×デジタル技術でオリジナルの作品を作ろう!」。
玉川大学構内の木と、芹ヶ谷公園で管理のために伐採した木を料材として、デジタル技術でオリジナルコースターやフォトフレーム、ネームキーホルダーを作っていきます。

こちらはレーザープリンターで写真を木材にプリントしている様子です。びっくりするほど鮮明に写真が印刷されていきます。
レーザーで木材が焼かれていっているわけですが、とてもいい香りでなんだか癒し効果がありそうです。それもそのはず、今回使用しているのはヒノキ、もしくはケヤキなんだそう。
みなさん、じっと印刷されている過程を見守っている様子が印象的でした。

こちらは3Dプリンターでネームキーホルダーをつくる様子です。
3Dキーホルダー自体を見たことがない人も多く、興味深くプリンター自体を見ている方も。

そしてお子さんで賑わっていたのはフォトフレーム作りです。
木材にビーズなどをペタペタと貼ったり、イラストを描いてカラフルにしてみたり。親御さんと一緒になって盛り上がりを見せていました。

タネから木を育てよう!

玉川大学からは農学部も参加。

樹木をタネから育てよう、というワークショップです。
まずはタネ探しからスタート。

玉川大学構内から運んでこられた土の中からどんぐりなどを探し出します。
そしてそのどんぐりからどのようにして芽が出てくるかなどを農学部教授の山崎旬氏が解説。
「どんぐりを水につけてみて、沈んだものが芽が出てくるかもしれないもの」「芽が出るには寒い気候も大切」など、実演も交えつつ説明してくださいます。

実際に参加者のみなさんも拾ってきたどんぐりを土の中に植えていきます。
作業をしながらも、山崎教授にさまざまな質問が飛び、とても賑やかなワークショップとなりました。

午前中のワークショップ後に山崎教授にお話を伺いました。

「現在、Tamagawa Mukurin projectではさまざまな学部が玉川大学の木を有効活用しようと取り組んでいます。例えば芸術学部であれば芸術作品に、工学部ではレーザーを使ったり彫り物をしたり、教育学部では、教育活動として林の中を散策したり、直接的、間接的に活用しています。
私自身の専門分野は絶滅危惧種の増殖、特に蘭の仲間やシダの仲間を増やしているんです。普段はそういったものの増やし方のワークショップをしているのですが、今回のような、お子さんに向けた一般的な樹木の増やし方については今までやったことがありませんでした。
みなさん、興味を持っていただけたようでよかったですね。『種』を探すところやっていただいたのですが、その様子が感心を誘ったようで。学生たちと準備した甲斐がありました。
今日はどんぐりなどが面でしたが、例えば、果実の中に入っている種などでもできますし、ぜひ自宅でもやってみていただきたいですね」

焚火&防災メシ!

お昼ごろになると良い匂いが……。
多目的広場でもうひとつ行われていたのが、NPO法人国際自然大学校による「芹ヶ谷公園で焚火&防災メシ!」です。
公園の伐採木材を活用してみるという視点から、伐採木を使って、焚火をしたり、焚火で防災用非常食の調理体験が行われていました。
このときに作られていたのはスープや焼き鳥缶を使った炊きこみごはん、そしてポテトサラダです。
ポテトサラダはお菓子をお湯でふやかし、コーンビーフを入れたもの。
ご飯やスープもポリ袋に入れてお湯で温めるだけ。

ポリ袋を使うと食器を汚さずに済み、災害時の水の節約になります。
参加していたお子さんも一口食べて、「美味しい!」と笑顔を見せてくれました。お母さんも「思いのほか、簡単にできてびっくりしました」とのこと。

災害時は、温かい食事はおなかだけではなく心も満たしてくれます。ぜひ非常時に使用できるようにポリ袋も用意しておきたいですね。

色と音で遊べる空間も

多目的広場のおとなりの噴水広場からは素敵な音楽が流れてくる瞬間がたびたびありました。
ピアノが置かれており、自由に誰でも弾くことができます。
お子さんが楽しげに鍵盤を弾いてみたり、卓越したメロディを作り出す方もいたりと、音で公園を彩っていました。

また、同じく噴水広場で行われていたのが「ステンシルローラーわくわくワークショップ」です。
ステンシルローラーを使い、大きな紙に詩「花がふってくると思う」をイメージした絵を描いていきます。
詩「花がふってくると思う」は町田市ゆかりの詩人・八木重吉氏によるものです。

多くのご家族がステンシルローラーを楽しみ、時間が経つにつれてどんどん華やかに。

また、「平和を願うガーランドづくり」も行われ、エリアを華やかに飾っていました。

知ろう!考えよう!公共施設のより良いかたち

噴水広場には巨大ジェンガが。
公共施設見直しキャラクターのまちにゃんたちが市民のみなさんをお出迎えしてくれます。

ジェンガには公共施設再編に関する問題が書かれており、正解するとノベルティがプレゼントされます。
問題が難しいのでは?と思われるかも知れませんが、パネルを読むとちゃんと答えが書いてあるので安心。楽しく学んで遊べます。

ポップなジェンガを使っていますが、中には町田に関するシビアな情報も……勉強になることが満載です。

つくって、ならして、おどっちゃお!

カキツバタ園付近の広場では、子どもたちが思いっきり体を動かし、音を作るワークショップが行われていました。
「ぽまるのおうち」さんによる企画で、自分たちで楽器を作って鳴らしてみよう!というものです。
まずは玉川大学出身の和太鼓+ダンスユニット「まだこばやし」さんとともに体を思いっきり動かしていきます。
ダイナミックな動きに子どもたちも大喜び!あちこちから楽しそうな声があがります。

そして、しっかりと体を動かして温まったあとは楽器作りスタート!
さまざまな材料を目の前に、子どもたちか豊かな想像力を生かして楽器を作っていきます。
カラフルだったり、音がどのように出るかにこだわったり……。
それぞれが思い思いの楽器を作りあげていきます。

最後は出来上がった楽器を手に公園内を大行進! 思い思いの装束に身を包むと、体を元気に動かし、音を鳴らし、芹ヶ谷公園を練り歩いていきます。
そんな子どもたちの姿を見て、すれ違った大人もにっこりです。

最後に、企画を行なったぽまるさんにお話を伺いました。

「いろんな魅力的な要素がある公園なので、それをアーティストの視点でみんなで共有して楽しめるものができたらな、というのが今回の企画の着想でした。
自然素材を使って楽器作りをしながら、それを持って公園を練り歩くことで公園の魅力を見つけられたら、というところが一番ですね。

あとはシンプルに、自然豊かな公園の中でみんなで思いっきり体を動かすのは気持ちいいことだな、というのをみんなで体感してみたかったんです。
みなさん参加してくださるかな、と少し不安だったんですけど、「まだこばやし」のみなさんが始まる前に公園を練り歩きをしてくださって。ハーメルンの笛吹きみたいなみんながついてきてくれたのもよかったですね」

お子さんと一緒に参加した親御さんもみなさん温かく見守ってくれたのもよかった、とぽまるさん。家族みんなで楽しめる企画となったようです。

クライマックスはランタンで

日も傾き始め、いよいよイベントもクライマックス。
夕方からスタートしたのがランタン作りです。
今回のイベントのクライマックスにランタンをあげますが、これは参加者のみなさんの手作りによるもの。それぞれランタンに桜の絵を描いていきます。

参加された方もなかなかないランタンをあげる機会にワクワク。
「息子がものづくりが好きなので作らせてあげたいな、と思って」
「ランタンを上げる機会なんてなかなかないので、できれば経験させてあげたいな、と思って参加しました」
「大人もランタンを上げるのは初めてなので、すごく楽しみにしていました」
などなど、楽しみにしていたという声がたくさん聞かれました。
今回のランタンは、紙の中に風船を入れて浮かばせます。灯りは炎ではなく、風船の中にLEDランプが仕込まれているので、とっても安全。

時間が経つにつれて、公園内にひとつふたつ……とランタンの数が増えていきます。

そして、すっかり日が暮れたころに始まったのが雅楽演奏家・東田はる奈氏による「笙のコンサート」です。玉川大学田中敬一デザイン・プロジェクトチームによるライトアップ企画の中で行われたコンサートはとても幻想的。
また、初めて笙を聴くという人も多く、東田さんによる丁寧に笙について解説も行われ、学びの多い時間となったのでした。

コンサート後はついにランタンが夜空に舞い上がります。
ランタンを持った参加者のみなさんが多目的広場に集まり、全員でカウントダウン。
「3、2、1……」とせえので舞い上がったランタンが芹ヶ谷公園を照らしたのでした。

芹ヶ谷公園で展開されたさまざまな体験。
参加したみなさんにはどのような思い出が残ったのでしょうか。

「Future Park Lab(フューチャーパークラボ)」はこれからも続いていくとの事なので、また次の機会もお楽しみに!

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