REPORT
【レポート】町田・まち歩き「パン屋・喫茶・カフェ巡り編」街の魅力を探し、再発見してみよう!
2019.08.11
町田の中町1丁目にある、市役所跡地の広大な芝生広場「町田シバヒロ」。最近少しずつ、町田の皆さんへの認知度も上がって来たのでは? 毎日のように、芝生の上を駆け回る子ども達や、サッカー少年、ダンスの練習をしているらしき高校生や大学生の姿も見られます。
フカフカの競技用芝が植えられたシバヒロは、裸足になると気持ちよさ抜群! 大人にも子どもにも、もっとこの場所を知っていただき、町田の日常的な交流拠点に育てていきたいというのが町田市の想い。そのための試みとして今年から町田シバヒロで、市民参加型のさまざまな「まちづくりイベント」を開催しています。
その一つが、7/6に行われた「町田・まち歩き −パン屋・喫茶・カフェ巡り編−」。まち歩きイベントの第2弾となったこの日、町田市内からはもちろん、都内や他県からもさまざまな世代の参加者が集まりました。その様子をレポートします!
「まち歩き」って何するの?
そもそも、「まち歩き」って一体何でしょうか? それは、あるテーマ性を持っていつもより注意深く積極的に街を探索し、いろんな発見をするフィールドワークです。
ふだんは見過ごしている街の穴場や魅力を見つけたり、逆に改善すると良い課題を見つけたり。道中で出会うお店の人や街の人に話しかけることで街の歴史や情報を知れたり、つながりも得られ、途中で食べたり飲んだり買い物をしたりすれば、街への小さな経済的貢献にもなります。
そう、「まち歩き」は、自分自身が楽しみながら気軽に街へ参加できる「まちづくり」の一つの方法でもあるのです。
今回のテーマは「パン屋・喫茶・カフェ巡り」
今回のまち歩きのテーマは「パン屋・喫茶・カフェ巡り」。町田といえば、たくさんの飲食店がひしめき合う激戦区であり、駅前の表通りなど地価の高いエリアには大手チェーン店が目立つ向きもあります。でも実は、中心地を少し離れた場所や、ちょっとした路地や古いビルの中などに、昔からずっと町田で商売を続ける味のある喫茶店や、手作りのパン屋さんなどが点在しています。
こうした個性のある、店主の顔が見える個人経営のお店が、その街ならではの彩りや楽しさをつくってくれています。そんなお店を探し求めながら町田を歩いてみようというのがこの日の主旨。
他県の大学生からシニアまで、多世代が参加
この日の参加者は、いつにも増して多様性がありました。
茨城大学から参加した4年生の女の子は、将来、自分でパン屋さんを開きたいという夢があり、しかもモノを売るのではなく人と人、人と地域をつなぐようなお店にしたいと考えているため、他の街のまちづくりを体感したくて参加したとのこと。
また、町田の近郊に住む40代の女性は、いつもはSNSやメディアに取り上げられたお店に行くことが多いが、アピール下手なお店にこそ隠れた名店があるに違いないので、今日は自分の目でお気に入りのスポットを発見しようと参加したそうです。
このイベントをきっかけに40年ぶりに町田を訪れたというシニア世代の男性もいました。なんと50年前に町田シバヒロ隣の町田第一小学校へ通っていたそうです。日頃からいろいろな街を地形的に観察しながら歩くのがお好きだそうですが、今日は久しぶりの町田がどうなっているのかを楽しみに来場されました。
他にも、前回も参加してくださった近所に住むご家族や、市内の奥様同士の友達連れ、秋田出身の大学生、地元桜美林大学の大学生、地域活性に興味のある方々などが参加。まち歩きイベントに興味を持つ方がこんなに多世代に渡っている点も、他の街に比べて実は町田の特徴かもしれません。
まち歩きのコツを伝授
街へ繰り出す前に、まち歩きコーディネーターのくまがいと柴田より、「まち歩きのコツ」が伝授されました。
「まち歩きのコツは、『私』を主語にして、五感で街を感じることです。今日は簡単な地図をお渡ししますが、それはあくまでヒント。誰かに言われた所に行くのではなく、自分が街をどう面白がるか、を大事にしてください」
・“私”が住みたい街を想像しよう
・課題を発見しよう ・好きを発見しよう
・美味しい食べ物屋さんを発見しよう
・街の人と話をしよう
・みんなで情報を共有しよう
街を歩く中で発見した「課題」と「好き」を撮影して戻って来るようにとミッションが伝えられ、参加者の皆さんはチームに分かれて作戦会議。限られた時間でどこに行くかを相談した後、フィールドワークへ出発しました。
さて、今回密着したのは、男性2人、女性1人からなるこのチーム。
写真右の男性は、大学でフィールドワークも交えながら地域の歴史や文化を教えている先生。今日は自分自身がもう一度新鮮な気持ちでまち歩きを体験したくて参加しました。
真ん中の女性は、相模大野で生まれ育ち、昔から買い物などでよく町田を利用していますが、最近の町田の様子を知りたくて参加したそうです。
左の男性は、山梨県から参加。日頃からカメラが趣味で、写真を撮りながらのまち歩きがお好きだそうです。町田に足を踏み入れたのは今日が初めてだそう。
3人組はまず、町田シバヒロの北側の住宅街の中にある小さなパン屋さん「なかまちパン」を目指すことに。
なかまちパンは、町田市中町1丁目の住宅街の中に突如現れる、シャビーな小屋のような可愛らしい店舗のパン屋さんです。コッペパンと、ハンバーガーみたいなサンドウィッチが看板商品。いずれも安心素材にこだわって、毎日手作りでつくっている、売り切れごめんの人気店です。
おっと!考えることはみんな同じなのか、他のチームとばったり遭遇。皆さん初めて知るお店のようです。このお店を目指さなければ、このエリアを歩くことは一生無かったかもしれないですね。
次の目的地へ移動する途中で、住宅街の中にある立派なお屋敷を活用したお蕎麦屋さんを発見!
パン屋でもカフェでもありませんが、風情漂う門構えに思わず吸い寄せられる3人。こうした予期せぬ発見が、まち歩きの醍醐味です。
「こういうお店は、改めてゆっくり来ようね!」ということになり、一行は次のお店へ。河岸を変えて、駅前の商店街へ向かうことにしました。
駅前の商店街では、これもまた予定にはなかった町田の老舗和菓子屋「中野屋」さんへふらり。作りたてのふっくらとした大福に抗えず、思わずつまんじゃいました。甘党の先生はしっかりお土産を購入。
こうした食べ歩きも、町田のまち歩きの大きな魅力ですね。
次に入ったのは、町田駅前で80年以上も続くお茶の専門店「ひじかた園」です。一画にはティーサロンもあるのですが、今日は茶葉などを購入し、サービスのお茶で喉を潤しました。
店内の壁一面に並ぶお茶の缶は迫力があります。日本茶から中国茶、ハーブティーとあらゆる種類のお茶が揃う専門店。4代目の店長 土方隆司さんは、このお茶屋を通して、まちづくりの一翼を担いたいと考えているそうです。こうした地元のお店に、いつまでも元気であってほしいですね。
フィールドワークの残り時間も押し迫る中、3人組は最後に、駅前の老舗の「喫茶」を偵察。いわゆる今時の「カフェ」とは趣の大きく異なる、大人のサロンのような店内に感動。昔から数え切れないくらい何度も町田に来ているこのチームの女性参加者も、「こんな素敵なお店があるのを知らなかった。すぐに出てしまうのがもったいないので、次回ゆっくり来たい」とのこと。
最後は駅前のコーヒー専門店で淹れたてのコーヒーをテイクアウトして、記念撮影をパチリ。大満足で町田シバヒロへと戻りました。町田が初めての人にも、何度も来ている人にも、それぞれに新鮮な発見があったようです。
全てのチームが町田シバヒロに無事に戻った所で、皆が独自の視点で発見した、町田の「好き」と「課題」を発表しました。
・古き良きお店がある
・「喫茶」の魅力(蝶ネクタイのおじいちゃんマスター、BGMが流れていないのが良い、時間がゆっくり、ベビーカーで入る時に、お店の人もお客さんも協力してくれた)
・美味しいものを食べ歩きできる
・20分も歩けばたくさんの魅力に出会える
・放置自転車が少ない
・改めて町田は歩いて楽しい街
・隠れた名店が多い
・リーズナブルなお店が多い(学生には嬉しい、都心だと2倍は高い)
・住んでみると、すぐ心が馴染む街
・道がバリアフリーではない(ベビーカー、お年寄りなどに対して)
・トラックが道に入って来て怖い
・歩いている人と車の距離が近い
・駅前の人混みで歩きタバコをしている人が多い
・若い人向けのお店が多く、落ち着いた通りが少ない
・エリアマップを見かけない
・町田のイメージがあまり外に伝わっていない
・駅前から少し離れた所にあるお店を知ってもらうPRが必要
・街が雑然としていて開放感がない
・道に迷いやすい
・皆で蝶ネクタイをして街を歩いたらいいのではないか(ピシッとしそう)
・街の外に車を停めて、街の中はもっと歩行者だけの空間に
・オープンカフェを大通りに設置
最後に、参加者と一緒に1日まち歩きをした、町田市経済観光部産業政策課の遠藤さんから、今日の感想をお話しいただきました。
遠藤さん「まち歩きは、もともといた街を見直す良いきっかけになると感じました。町田の課題を、皆のアイデアで解決して行きたいと私達も思っています。今日、皆さんと一緒に街を歩いてみて私が感じた課題は、『伝わらない』ことだなぁと。良いお店があってもなかなか入りづらかったり、町外れにも個人経営の面白いお店がたくさんあるのに全然知られていない。そういう、口コミにも上がってこないような情報を、どのように知らせていったら良いのか。今後も皆さんと考えていけたらと思います。
今日は気になる飲み屋さんを見つけたので、次はまち歩きの夜編も良いんじゃないかなと思ってます。役人が言うことじゃないですが(笑)」
街を見る視点を意識的に持つ
今回は、町田駅前の中心地から少し外れたエリアにも、魅力ある個人経営のお店がいろいろあることが体感できたまち歩きでした。こうしたお店を知る機会をどのように作るのか、分かりやすく知らせていくのかが、今後の課題かもしれません。
いつもの通勤ルートや生活動線にない街を歩くことで、街に対する新しい視点を獲得できるのもまち歩きの大きな利点です。まち歩きは、「街を自分事」にしていくアクティビティ。もっと街を知りたい、街との距離を縮めたい、この街の面白さを知りたいと思う方は、ぜひ、自分なりのテーマを持って、日頃から散歩代わりのまち歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか?
町田シバヒロでも、引き続きテーマを変えたまち歩きイベントを開催していきます。ぜひ、どなたでも、お友達やご家族と気軽に参加してくださいね。