INTERVIEW

Machida Weekend STREETから考える未来の歩きやすい町田の未来

2023.03.30

東京都の南端にある、人口約43万人の都市「町田」。新宿から小田急線で約30分、横浜と八王子をつなぐJR横浜線も乗り入れ、横浜駅からも約30分と交通利便性は抜群で、1970年頃から団地が開発されるに伴い、人口も増え続けて来ました。

かつては八王子で生産された生糸を横浜港へと運ぶ街道「絹の道」を中心に商業が栄え、やがてJRの駅が小田急線の駅の近くへ移転したのを機に、町田駅前には百貨店や大型商業施設が次々と開業。ピーク時には商圏人口230万人とも言われるほど、「買い物するなら町田へ」と近隣の市町からも多くの人が集まりました。

その町田が今、再び変化の時を迎えています。

日本全体が成熟期を迎える中、次の時代・世代に選ばれるまちにしていくために、町田市でも多くの人々が、積極的にまちのアップデートに取り組んでいます。今回の特集インタビューでは、原町田中央通りの無電柱化をきっかけに「沿道空間」の活用に取り組んでいる、町田市役所の渡部さんにお話を伺いました。

2022年の10月〜11月にかけて、原町田中央通りと原町田大通りでブースを貸し出し、販売やワークショップを開催して、中心市街地の使われ方を実験したイベント「Machida Weekend STREET」を中心にお聞きしていきます。

無電柱化から始まった、通りの賑わいづくり

−今回の社会実験はどのような背景で行われたのでしょうか?

まず社会実験の前段からお話させていただきます。原町田中央通りを無電柱化する計画があるのですが、「町田市中心市街地まちづくり計画(2016年)」に掲げる「個性と魅力あふれる商店街づくりプロジェクト」の先行地区として、その道路整備をきっかけに始まった事業になります。

道路拡幅のため原町田中央通り沿道の権利者には、建物の建築時に約3mの後退(=セットバック)をお願いしています。無電柱化による道路整備で道がきれいになるのに合わせて、このセットバックした沿道空間を通りの賑わいや魅力づくりに活用することになりました。

歩道両側に確保された空間を、沿道の店舗やその他一般の方々にも利用いただけるよう、まずは使用に関するガイドラインやルールを作成しました。その実践とブラッシュアップを目的とした実証実験が、今回の「Machida Weekend STREET(まちだウィークエンドストリート)」というイベントです。

日常的に沿道空間を活用できる仕組みや体制の検証として、原町田大通り〜文学館通りの区画の5つのエリアで出店募集を行いました。実施期間は10月8日〜11月6日の1ヶ月間、金・土・日・祝日で、店頭販売やワークショップ等の日替わり出店が行われ、今回は休憩スペースの設置も試みました。

この期間を選んだ理由は、一般貸出も含めたルール構築をしつつ、沿道店舗の方にもたくさんご活用いただきたかったからです。そのため、町田大道芸から始まり、ハロウィン、酉の市など、商店会が主催や参加をするイベントに時期を重ねました。

−今回は通りに店舗を持たれてない方々への貸し出しも増やし、販売やワークショップが行われていたと思います。そのような一般の出店者の方々からの反応はいかがでしたか?

私たちの準備不足だった点もあり反省も残るのですが、続けて欲しいと言っていただけたのが嬉しかったです。終わるまではずっと不安だったので。また、沿道店舗の方々からの意見として、今後も継続できるのであれば、企画段階から一緒に入りたいという声もありました。

肯定的な感想をいただいた一方で、来客が少なかったという方もいました。それは私たちの反省点で、次回からは事前の周知にも力を入れていきたいですし、元々人通りが少ないエリアをどう盛り上げるかについては今後の課題でもあります。

ただ、出店者の方々がイベントの趣旨を汲み取り、自店の利益だけではなく、通りの活性化を一緒に考えてくださったことがありがたかったです。「自分たちは出店できて嬉しいけど、この沿道の店舗の方々にいかにメリットを作れるのか、一緒に考えていきたい」と、終了後のヒアリングにも協力的な方が多かったです。

一昨年の社会実験では、一般出店の方と、沿道の店舗の方でコラボレーションをするアイデアも生まれました。実際に八百屋さんの野菜を使って、その店舗前でフルーツサンドを販売するブースが実現されていました。沿道店舗の方々が持っているものと出店者側のできることを掛け合わせて、両者のアピールができる枠組みは沿道空間ならではの発想ですし、今後も増やしていきたいです。

−沿道に店舗を持つ方々も、出店をする動きはありましたか?

そうですね。自分の店舗の前をご活用いただいたり、全く別のエリアでの出店も見られました。特に10月8日、9日、21日、30日、11月4日の5日間はまちのイベントの内容と合わせた出店企画をして、参加いただける方法を模索しました。

例えば、「むかしなつかしマーケット」という名前で企画した日は、高齢の方に毎年人気の催しの観光・物産展「山の楽市」がぽっぽ町田広場の開催日でした。原町田中央通りには乾物屋など昔ながらのお店や、高齢者に人気のあるお店も多数あるので、そういった店舗を中心にお声がけをしました。

また、この取り組みを通して可能性を感じた点として、上階店舗による利用があります。今回、茶道具屋さんがお茶を点てて提供したいと計画していたのですが、保健所のルール的に難しいそうで。そのため、沿道空間にはお茶を点てるセットとチケットを置いて、興味のある方には3階店舗に上がっていただく形をとりました。

お店の方が立つ時間は少なく、展示スペースのような形式でしたが、1日で10人以上の方がチケットを取って来店をされていました。集客が難しい上階店舗にも、新しい宣伝効果を作れる可能性を感じています。

原町田中央通りから、新しい町田カルチャーを

−イベントへ遊びに来られた、来街者の方々の反応はいかがでしたか?

事前のイベント周知不足で、知らなかったという方が多く、通りすがりで立ち寄ってくださる方がほとんどでした。内容については「通りの人通りが増えて賑やかになった」「イベントがあることで活気づいた」など、肯定的なご意見や、今後も続けて欲しいという評価が大半だったのは嬉しかったです。

また、利用頻度が多く手応えを感じられたのが、今回初めて設置した休憩スペースでした。ゲームセンターの前など比較的広い沿道空間で出店利用のないエリアに、テーブルと椅子を置かせていただき、自由に座れる場所を作りました。

設置の背景として、町田市についてアンケートやヒアリングをすると、必ず「街中に座るところがない、ベンチがない」という意見があり、中心市街地全体の課題でもありました。

ちょっとした休憩をされる方、通りで購入した食べ物をテーブルに広げて食べる方も多く見られ、ニーズの高さが可視化されました。通りの滞在時間を伸ばすこともできますし、今後も続けていきたいと思っています。

今回休憩スペースを設置いただいた店舗にも感想を伺うと、街の方にも広く使ってもらえるのは店舗への接触機会にもなるということで、継続設置をお願いしました。イベント時には連携しつつ、普段は人が増える毎週土日に出してみるなど、自由に設置管理できる形でお願いをしました。実際に2店舗が現在継続している状況です。この取り組みを見て、実施できる店舗も増えるといいなと思っています。

この社会実験の中心に立って運営を進めてこられた、渡部さん自身の感想をお聞きしたいです

反省点や不安な部分も多かったのですが、イベント終了後にお話を聞いてみると肯定的な意見もたくさんいただき、続けていくことが大事だと思えるようになりました。

運営についても急がずに一歩ずつやっていくのがいいと思っています。元々は来年度には市が運営している部分を、全て地元の方にお渡しする計画でしたが、イベントの認知もこれからですし、まだ必要なルールも定まりきっていない状態です。地元の方がやりたいと思える形で継続できるものを、じっくり一緒に作っていくことが大事だと考えています。

まちを盛り上げたい、同じ目標のもと共存する

今後の発展や目指しているビジョンについてお聞きしたいです

現在は市が主体で運営していますが、今年度から協力体制を強化していく予定です。現状も4者で協定を結んでいて、2つの商店会と町田まちづくり公社が協力してくださっています。

商店会の方々は、実際にお店をここで出されてないケースも多いので、月1で打ち合わせをしつつ、その間に町田まちづくり公社に入っていただき、土台を一緒に作っていく体制で動いています。

ゆくゆくは地元の方々が主体で運営できることが目標なので、今はそのきっかけと土台作りをしています。来年度以降は実行委員会を作って、一緒に運営しながら役割分担を考えていく予定です。商店会の方々も「通りを盛り上げたい気持ちは一緒だから、商店会員に縛らない方がいいんじゃないか」と言ってくださったので、実行委員会という形をとりました。

商店会の加入を問わず、沿道店舗の方々にもご参加いただき、これから一緒に動いていきます。社会実験への参加をきっかけに、商店会へ加入する店舗もあり、そういった作用が生まれるのも嬉しいですね。

最終的には沿道空間を活用した動きが、日常的に行われてるような通りにしたいです。

来年度からはこれまでの反省も踏まえて、「Machida Weekend STREET」の定期開催をします。前半は隔月の5月7月9月で、後半からは毎月の月末金・土・日を固定で開催していく予定です。最終的には「月末の週末に来ると、通りでイベントを楽しめる」という町田の新しい一面として、来街者の方々にも知っていただけると嬉しいです。

沿道の店舗の方々からは、「次はこういう企画をやりたい」という自発的に色々なイベントが行われる通りになっていったらいいなと思っています。

現在は中心市街地全体のモデル地区のようなイメージで、原町田中央通りで開催をしていますが、これを成功例にして、他の通りやエリアでもやりたいという声が増えていくと嬉しいです。

余白を増やして、多世代を受容できるまちへ

−今後の町田中央市街地に期待することは何ですか?

町田のいいところって都心まで行かずとも必要なものが揃うし、気負わずに出かけられるところだと思っています。都心に出るとなると、ちゃんとしなきゃと気合いが要るのですが、町田は気楽に行けるし、ショッピングビルだけではない土着の個性や魅力もあると思っています。

ただ、今はまだ子どもが小さいので、子連れには不便だと感じる場面もあります。買い物をしていても、子どもが好きなことをして過ごせる余白のスペースが少ないと感じます。子どもといると、座ったり遊べる場所があるショッピングセンターに足が向きやすいのですが、それはママ的にはあまり楽しくないですよね。

街中にママが楽しめる場所はあるけど、子どもが楽しめる場所は少ないのかもしれないです。例えば、せっかく電車がいっぱい走っているので、その様子を眺める場所があるだけでも嬉しいです。

親と子がそれぞれ楽しめるスポットがあちこちに分散されていると、もっと親子連れで来やすい場所になると思います。それこそ、沿道空間に設置される休憩スペースはニーズもありますし、余白の増やし方としていい方法だと感じます。

現在取り組んでいる沿道空間の活用においても、既存の店舗の方々、幅広い世代の来街者や地元の方、それぞれにとって心地の良い形を探していきたいです。

 

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