PEOPLE

町田で作った安心安全な野菜を町田で消費する / あした農場 渡辺恒雄さん

2020.12.21

【農場名】あした農場
【ジャンル】農園
【ご担当者】渡辺恒雄さん
【所在地】小野路町

駅チカのお店で地産地消

地産地消という言葉を耳にする機会が増え、地元で作られたものを食すのが「特別なこと」になった現代社会。しかし町田には、地元の飲食店や八百屋に野菜を卸している農家さんが多く、町田駅周辺の中心市街地でも、気軽に町田産の野菜を口にすることが可能です。

「にほんの里100選」にも選ばれた町田市小野路にある「あした農場」も、地産地消に力を入れている農家さんの1つ。渡辺恒雄さん、康子さん夫婦が2013年秋に立ち上げたこの農園では、農薬や化学肥料を使わず、誰もが安心して口にすることのできるお米、麦、野菜づくりが行われています。あした農場では、中心市街地のお店に野菜を出荷しているほか、町田市内外の個人宅へ野菜の配達を行うなど、丹精込めて作った町田産の野菜を地元の人々に届けています。

より安全な野菜を

農家に転職する前は、フリーのwebディレクターとして仕事をしていたという渡辺さん。長年webの仕事に携わるなかで、60歳、70歳までこの仕事を続けることは難しいと感じ、何か人生の後半の仕事を見つけなければいけないという気持ちが常に頭の中にあったそうです。

渡辺さん「webディレクターとして広告の仕事をしていくなかで、人様の商品を宣伝することに飽きてしまって、自分で商品を作って自分で宣伝したいという気持ちがありました。そこで、自分でも作れるものを考えた時に、野菜だったらできそうな気がしちゃったんですよね。

あとは、産地偽装の問題であったり、食料を輸送する際にかける薬の問題であったり、食べる側として、何が安心安全かというのが色々なニュースを見て気になっていて。自分で作ればもっと安全なものが作れるのではないか、そしてそれを周りの人たちに届けたら喜ばれるのではないかなと思うようになりました。それで農業を始めてみましたが、やってみると大変でしたね(笑)」

選んだ就農先は、町田

農家への転身を決意した当初は、地元・茨城での就農を考えていたという渡辺さん。しかし、2011年に起きた原発事故の影響もあり、茨城への就農を断念し、一から就農先を探したそうです。数ある候補地の中から、なぜ就農先に町田を選んだのでしょうか。

渡辺さん「町田市が、僕みたいに新しく農家になりたい人向けに農地を貸す斡旋事業を始めていたので、比較的簡単に農地を借りることができました。そうでなければ血縁などを頼って農地を探さなければいけなかったと思うのですが、町田市は市役所が窓口になってくれたというのが大きかったです。

あとは、自分が『農業ってなんか楽しいな』と思って農家になった人間なので、もっと他の人にもそれを伝えたくて、人が来やすい場所で畑をやりたいという気持ちがありました。町田だったら都内からも他の場所からも人が来やすいので、それも決め手でしたね」

家族や友人、大切な人と共に体験農園

nou-fuの畑

こうして町田での農業をスタートさせたあした農場では、農薬や化学肥料を使わない安心安全な農作物づくりを行っているほか、援農ボランティアや農業体験の受け入れも積極的に行っています。小田急鶴川駅や京王多摩センター駅からバスで10分余りという立地の良さも相まって、町田市内はもちろん、横浜や世田谷などからも、農薬を使わない農法に興味のある方が援農ボランティアとして畑に足を運んでいるそうです。

体験農園「nou-fu」は、1区画25平方メートルの畑を借りて、約11か月間の農業体験ができるプログラム。あした農場スタッフのアドバイスを受けながら、畑で野菜を育て、収穫し、最後には食卓で食べることができるこのプログラムには、夫婦、家族、友人など、それぞれの大切な人と共に参加している方が多いそうです。大人が作業をしている横で、作業に飽きてしまった子どもたちが鬼ごっこをしたり、虫を捕まえたり、週末にはそんな温かい風景が見られるそうですよ。

町田は2つの顔を持つ街

最後に、渡辺さんに、就農して7年が経つ町田について感じていることを伺いました。

渡辺さん「町田は田舎の顔と都会の顔の両方を持っている街だなと思います。僕は近くの人に近くの農家が美味しい野菜を届ける関係性が理想だと考えているのですが、人が少ない地域だと県外に出荷しないと商売が成り立たない。だけど人口の多い町田なら、地域で作って地域で消費してもらえる。うちは仲見世通りの和酒BAR ISさんをはじめ、市内の飲食店に野菜を卸したり、個人宅へ直接お野菜を配達したりしているので、地元の人に自分たちの野菜を食べてもらえて、町田で農業ができて幸せだなぁと思っています。

町田っていう場所にたまたま縁があって、ここで農家になれたから、今の僕がやっているような農業体験だったり援農の人をいつでも受け入れたりという形ができているので、町田市さんには感謝しています」

ふらりと足を運んだ町田駅近くのお店で、気軽に地元産の野菜を口にすることができる。その野菜が、どこで、誰に、どんな風に作られているのか興味が沸いたら、農園を訪れてみる。そしてもっと興味が沸いたら、小さな区画から、食卓に並べる野菜を自分たちで作ってみる。そんな風に、生産者と消費者の距離が近い農業が実現できるのは、田舎と都会、2つの顔を持ち合わせる町田ならでは。あなたもぜひ、「町田ならでは」の農園で作られた野菜で、毎日の食生活を豊かにしてみませんか。

【農園情報】
あした農場
所在地:町田市小野路町
URL:http://ashitanoujou.ciao.jp/index.html
【飲食店情報】
和酒BAR IS
所在地:東京都町田市原町田4-5-18
営業時間:17:00~0:00
定休日:水曜日

町田市には、中心市街地の飲食店に野菜を卸している農家さんがたくさんいます。市のホームページでは、町田産の農産物が食べられる飲食店を紹介する『「まち☆ベジ」グルメ店なび』を公開しているので、ぜひこちらもチェックしてみてください。

COLLABORATION PARTNER