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多くの人にジオラマの楽しさを知ってほしい /アトリエminamo 宮澤雅文さん

2021.03.29

【店名】アトリエminamo
【ジャンル】ジオラマ
【ご担当者】宮澤雅文さん
【所在地】原町田

■店内に広がるたくさんの「世界」

ジオラマと聞くと一体どういうイメージを抱くでしょうか。博物館に展示されているもの、鉄道模型、小さいもの、街の再現――。どれも正解なのかもしれません。ただ、実際に近くで見て、触れてみると手の中にある小さな世界にときめきを覚えます。

JR町田駅から徒歩4分。静かな住宅街の中にある『アトリエminamo』にはそんなジオラマの世界が広がっています。ジオラマのキット、アトリエminamo代表で模型作家の宮澤雅文さんが作成した大小さまざまなサイズのジオラマ、そして鉄道の模型が所せましと並ぶ店内は、一歩入るだけで別世界に紛れ込んだようなワクワク感を覚えます。

2011年にオープンし今年10年目を迎えたアトリエminamoではジオラマの展示、鉄道模型を走らせるためのコースのレンタル、また、宮澤さんはジオラマの企画・製作も請け負っています。

「電車の模型は模型屋さんで手に入れることができるんですけど、走らせるとなると場所をとるので自宅内にコースを作るのはなかなか難しいんです。通勤電車10両編成を並べようと思ったら、ホームだけでも1,5m、新幹線の16両編成だと2,7mは必要になります。ジオラマだけで2畳分のスペースをとると、あとは作る場所、保管場所、と考えると6畳のひと部屋が埋まっちゃうんですね。それで展示兼レンタルコースとしてお貸しています」

店内にあるジオラマは全て宮澤さんが手がけたものです。もともとは地図が好きだったという宮澤さん。そこから地形の模型を中学生のときから作り始めました。

「小学校のときに教科書と一緒に配られる地図帳がありますよね。あれに書いてある等高線が大好きで。それを観ながら、どういう地形なのかな、って考えるんです。工作も好きだったので、こういうおもしろい地形を作ってみたいな、と思ったのがきっかけでした。
ちょうどそのころ、Nゲージという鉄道模型が少しずつ普及し始めていて、このスケールで作ったら楽しいかな、と。鉄道も好きだったので両方楽しめましたね」

■繰り返し訪れたくなる魅力を持つお店

しかし、ずっと模型作りに没頭できていたわけではありませんでした。

「中学高校、学生時代、特に就職してからは中間管理職だったので本当に忙しくて、趣味の時間を持つことができなかったんです。40代半ばぐらいにまた作り始めるようになりました。
出身は横浜だったんですけど、町田にはときどき遊びに来ていておもしろい街だな、という印象があったんです。それで、お店を開こうってなったときは町田を選びました」

お店をオープンしたのはちょうど東日本大震災のあと。準備中に地震に見舞われました。

「あまり大っぴらな宣伝もしないまま、ここまで来ましたね。地味な活動のままずーっと来た気がします。でも、一回ご利用された方がまた来てくださるようになって。規模は小さいですけど、ジオラマの製作以外にも、車両の修理とかもやっているので相談も受けたりしているので、それも役に立っているのかもしれません。鉄道模型の愛好家の方や、モノづくりの好きな方、女性の方もけっこういらっしゃいます。カルチャースクールでジオラマ製作指導も行っているのですが、そちらには本当に老若男女問わずいらしていただいています」

■ジオラマの魅力を知ってほしい

仕事として多くのジオラマ製作を請け負っていく中で「決まった予算と〆切の中でジオラマを作る技術を身につけた」という宮澤さん。そのノウハウを伝えるためにもジオラマ製作指導を行っているといいます。

「ジオラマってただミニチュアの風景を作るっていうだけのわかりやすい趣味なんですよね。でも、専門書を見ると専門用語が並んでいたりして知識がないとできないと思われてしまう。あるに越したことはありませんが、必ず必要とは限りません。器用、不器用というのも関係なく、手先を動かすのが好きな人にはすごく分かりやすい趣味なんです。鉄道に絡めなくてもいいですし、建物のジオラマをひとつ買ってきて気分を味わうっていうだけでもいいんです。難しく考えず、ただ自分が行きたい場所を作るのでもいいんです。
鉄道を走らせるとなるとスペースが必要になりますが、ジオラマを作るというだけだったら、10センチ角のスペースがあればできます」

敷居が高く感じられるジオラマ製作ですが、それは上手に作らなくてはいけない、という意識が働いてしまうから、とも宮澤さんは言います。

「ネットで検索すると出てくるのはうまい人の作品です。でも、うまくなきゃやっちゃダメだ、というわけではありませんから。趣味でやるなら楽しんでやれるのが一番です。お金をかけてもいいし、何もキットを使わずに全部自力で作れるようになるのも楽しいですし。楽しみの見つけ方は人それぞれですが、まずは、ジオラマへの入り口が作れれば」

■ジオラマでつながる人と人の世界

アトリエminamoには町田市民だけではなく、さまざまな地域の人が訪れると言います。

「町田はいろんな場所からのアクセスが良くて、人が集まりやすい場所です。それだけでなく、ほかにはない魅力がたくさんある街だな、と思っています。その良さのひとつが小さな店が元気なところなんですよね。発展していくと失われるものもあるけど、良さを生かしつつ、成長していってほしいな、と思います。
私としては、このまま店を続けていくことで、少しでもジオラマのおもしろさを伝えてもらえたらいいですね」

写真を撮らせていただいていると、次第に夢中になって時間が過ぎるのを忘れてしまいます。小さいけれど広い世界に没入していくような感覚はやみつきになりそうでした。新たな趣味に触れることで世界を見る視点も変わっていくかもしれません。

【お店情報】
アトリエminamo
所在地:東京都町田市原町田4-16-21キムラヤビル2F-1
TEL: 042-851-8085
定休日:月・火曜日
URL:http://www.atorie-minamo.com/

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