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圡方精肉店

町田の食と地域のつながりを支える精肉店 / 圡方精肉店 圡方孝さん

2019.07.23

【店名】圡方精肉店
【ジャンル】精肉店
【ご担当者】圡方孝さん
【所在地】中町1丁目

町田第一小学校の隣で祖父の代から

町田シバヒロの近くにある中町商店会の中でも、1960年の創業以来ずっと、良質で新鮮な肉と、それを使ったこだわりの揚げ物を提供し続けている圡方精肉店。3代目としてお店を切り盛りしている圡方孝さんのおじいさんが、勤めていた国鉄(今のJR東日本)を辞め、家畜商から始めました。

圡方精肉店は、孝さんも通った町田第一小学校のすぐ隣にあり、現在は孝さんの子ども達もこの小学校の児童。代々、この中町商店会に根ざし、この町田と共に歩んできたお肉屋さんです。町田市内の小学校、保育園、市民病院、都立町田の丘学園、老人ホームなどにも食肉を納めており、町田の子ども達からご老人まで、たくさんの人々の胃袋を支えています。

生きた状態で目利きする新鮮なお肉

圡方精肉店

孝さんのおじいさんが始めた家畜商というのは、豚などの小さい家畜を本町田などの農家に売り、育ててもらって、半年後に食肉として買い取る、という商売です。

孝さんが19才になる頃まで、町田には家畜の屠場があったそうです。家畜商をしていた圡方精肉店には、この屠場に入る権利(免許)が与えられています。だからこそ、生きた状態で食肉用の家畜を目利きし、骨がついたままの新鮮な肉を仕入れることができるそうです。その肉を圡方精肉店の中で骨抜き・加工して、店頭に出しています。

創業時から続く揚げ物は夕方前に品薄に

圡方精肉店

圡方精肉店では、生の肉ももちろんですが、創業時から販売している手作りのコロッケやメンチカツ、ハムカツなどの揚げ物も人気です。おやつや夕飯のおかずにと、町田の常連さん達が買い求めに来て、いつも夕方前には品薄気味に。昔からの常連さんが遠く宮城県まで引っ越した後、やはり圡方精肉店の揚げ物が食べたいと連絡が来て、宮城県まで送ったりすることもあるほど、根強いファンがいます。

その理由の一つは、揚げ油と揚げる回数へのこだわり。必ず毎朝、フレッシュな豚の脂を溶かして、生の油の状態から高温まで炊き、午後いちばんに1日1回揚げるのみ。同じ油で何度も揚げることを決してしません。何回も油を熱していると、油が酸化するからだそうです。

こんなふうに毎日新鮮な豚の油を使うことができるのは、屠場から直接仕入れることができる圡方精肉店ならではなんです。

都知事から表彰も受けたお店

圡方精肉店

そんな圡方精肉店で大事にしていることを、孝さんに伺ってみると、

「常に新鮮な肉を提供したいので、品物を回転させるようにしています。うちは朝に切った肉を店頭に出して、売れ残った分は、翌日、市内の学校や施設などへの納めに使います。そうすることで店頭にも施設にも、いつも新鮮な肉を供給できます。うちは家畜商をしていたから、屠場から直接仕入れられるのが強みです」

そんな圡方精肉店の肉の取り扱い方がとても優れているとして、東京都知事から表彰を受けたこともあります。代々の商売に誇りを持ちながら、町田の人に美味しい肉を届けたいという孝さんの思いが伝わって来ます。

中町商店会の昔と今、そしてこれから

圡方精肉店

孝さんは、中町商店会の会長も務めています。子どもの頃からこの地域で育ち、商店会を見て来た孝さんは、今どんなことを感じているのでしょうか。

「昔は同級生でも、酒屋さん、桶屋さんなど商売をしている家が多かったですね。今は、この商店会でお店を営業しながら住んでいるのは、うちも含めて2軒だけになりました。商店のオーナー達が高齢化して、場所貸しをするだけで、住まなくなってしまったんです。中町商店会も、昔は130軒ありましたが、今は60軒くらいになり、チェーン店も多くなりました。

私が子どもの頃には、商店街の中に安い居酒屋があって、街の憩いの場になっていました。親父達が風呂上がりに浴衣で一杯やりに行って、近所の仲間と麻雀する、そういうコミュニケーションがあったんです。商店会に入れてくれっていう人がいたくらい、コミュニティに魅力がありました。未来の商店会にも、そういう憩いの場はほしいですし、これからはチェーン店なども含んだ大きな商店会に再編成する必要があるのかもしれませんね。

住民の高齢化と孤独死の問題が町田でも起きている中で、本当は商店会の方からもっと街に出ていかないといけないと思っています。例えば、食事の宅配みたいなことをすると、高齢者の見守りにもなります。八百屋、肉屋、パン屋など商店会にはいろんな店がありますから、1店じゃ難しくても、商店会で協力すれば可能じゃないかと思うんです」

子どもの代になっても、元気な町田であってほしいとおっしゃる孝さん。「昔は良かった」と言っているだけではなく、商店会の現在の課題を見つめ、今後に向けてできることを模索しています。子どもや高齢者を皆で見るような、地域と商店会の生きたつながりがこれからも続いて行く、それも町田らしい未来像と言えるかもしれません。

【お店情報】
圡方精肉店(ひじかたせいにくてん)
所在地:東京都町田市中町1-17-10 土方ビル
TEL:042-722-2335
営業時間:10:00〜18:00
日・祝休み

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