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町田の文化の発信点のひとつになれれば CAFÉ GILLESPIE 嘉代征訓さん

2021.08.03

【店名】CAFÉ GILLESPIE
【ジャンル】飲食店
【ご担当者】嘉代征訓さん
【所在地】原町田

JR横浜線町田駅から歩いて徒歩3分のところにあるCAFÉ GILLESPIE。
ビルの階段を上り、ドアを開けるとスタイリッシュで個性的な空間が広がっています。

昨年オープンし、オーナーの嘉代征訓さんがひとりで切り盛りするこちらのお店では、料理やお酒、ティータイムが楽しめるほか、町田に拠点を置く作家たちのアート作品が飾られています。

広々とした空間を贅沢に使った店内は、街の喧騒から離れてホッとくつろぐことができます。店にはどのような想いが込められているのか、嘉代さんにお話をお伺いしました。

さまざまな経験を重ねることで見つけた自分のやりたいお店

高校2年生のときに町田市に引っ越してきたという嘉代さん。大学を卒業してから一人暮らしを始めましたが、ずっと町田市をホームタウンとして過ごしてきました。

「中学生のころから自転車で町田に来ていました。以前住んでいた場所からだと、一番近い繁華街が町田だったんですよね。
飲食業に関わることになったのは大学2年生のときのアルバイトがきっかけ。レストランバーだったんですけど、就職が決まらなかったこともあって、そこで続けて働かせてもらっていました。6~7年になるかな」

それから都内のジャズバーのカウンターや、カフェバー、再び町田に戻ってきて料理を学ぶためにフレンチ店で経験を重ねていくうちに、自身で飲食店をやりたいという気持ちが強くなっていきます。

「基本、どこのお店もいい人たちばかりだったんですけど、飲食で独立したいという夢を持ったのは、最初に働いた町田のお店が楽しかったからだと思います。それにいろんなところで働いたおかげで、自分のやりたいお店のスタイルを見つけることができたんだと思います。始めはバーがいいな、と思っていたけど、カフェの良さにも気がついたし、やっぱり料理もできないとな、とか……修行というか、調理もやらせてもらっているうちにおもしろさに気がつきました。そういった経験が店のベースになっていますね」

そうしてできあがったのがCAFÉ GILLESPIEです。目指しているのは居心地が良い店。

「人が心地いいとか、『ここ、いいな』と思ってもらえるような空間がいいですよね。漠然とした言い方ですけど、居心地の良さって人それぞれじゃないですか。自分が気持ちいい音楽が鳴っていて、好みの料理があって、好きなお酒がある。自分がやっていることを気に入ってくれて、好きになってくれる人がちょっとずつでも集まってくれれば楽しいな、と思います」

店を出すならやっぱり町田がよかった

自分で飲食店をやることを意識したのは、最初に働いていた町田のレストランバーの社長が亡くなったことがきっかけでした。

「社長が亡くなったことで、持ちビルが空いたから店をやってみてはどうか、っていう話が来たんです。やりたいな、って思ってその時に勤めていた店をやめたら、その話自体がなくなってしまったんですけど」

しかし、チャンスはすぐにやってきます。その後働いたお店でオーナーから店を増やす話があり、嘉代さんがカフェバーを任されることになったのです。

「週末など、繁忙期はスポットでアルバイトに入ってもらっていましたけど、ほぼ一人でやっていました。そこで6年やって、自分ひとりで店をやるイメージも持てるようになりましたね。それでやはり自分の店を持ちたいと思って、本格的にテナントを探し始めたんですけど、なかなか見つからなくて、1年ぐらいかかりました。途中、心が折れかけて町田以外の場所でも……って考えたんですけど、やっぱり慣れている場所だし、好きだから町田でやるのが一番かな、と」

町田の仲間たちと作った店

CAFÉ GILLESPIEに入って目を引くのがマネキンのパーツや、多くのアート作品。内装については町田にある古物百貨店ALL TOMORROW’S PARTIES(A.T.P)が手がけています。

「最初に働いた町田のレストランバーにA.T.Pのチラシが置いてあったのがきっかけでオーナーさんと知り合いました。実際に店に行ってみたら、洒落たものが置いてあるな、って。前のカフェバーでも椅子や照明を買わせてもらってました。
自分の店を持とうというときにまたお邪魔させてもらったんですけど、そのときに『うちは内装もやるよ』と言われて、ぜひ、とお願いしたんです」

「とにかく、お金がなかったので」と苦笑いをする嘉代さん。最低限のものだけを作ってもらい、自身も作業を手伝いました。壁などはビスがむき出しになっている部分も。それがまたお店の味になっています。ただ、ガランとした壁に寂しさを感じました。

「意外とこういう壁を使いたい人いるんじゃないかな、と思ってA.T.Pの人に話したら、作家さんを紹介してくださって。それがきっかけです。その様子をInstagramで見たほかの作家さんも店に来てくれるようになったり……。ぼくはギャラリーの知識なんてまるでないので、どうすればいいんだろう、って思っていたんですけど、作家さんと話しているうちにラフに作っていけばいいのかな、と思うようになりました。町田の作家の発信場所のひとつになれたら嬉しいですよね」

店の雰囲気を気に入って、おもしろそうであれば、これからも地元の作家さんとは関わっていきたい、と考えているそう。

望むことはシンプル 住みやすい街を


学生時代から、20年近く町田を見てきた嘉代さん。最後にこれからの町田について聞いてみました。

「もう少し、とがった個人店が増えるといいですよね。飲食だけじゃなくて、服屋さんでも家具屋さんでも。駅のすぐそばは無理でも、少し離れたところからちょっとずつ固めていくというか。興味をひかれるお店があれば、目的地にたどり着くまでに町田のいろんな面が見つけられると思います。
あと、町田は住んでいる人が多いし、それに伴って当然住宅地も多い。まずは今住んでいる人たちが住みやすい街を目指してくれたら、って思いますね。住んでいる人たちが『居心地が良い』『住みやすい』って思える街は強いんじゃないかな」

お店は街と地続きです。街が住みやすい街であれば、お店にも良い影響がきっとあるはずですし、逆も然り。「誰か」が、居心地が良いと思う店が増えることで、きっと街の魅力も増すはず。CAFÉ GILLESPIEのようなお店が、街を少しずつ心地よくしていくのかもしれません。

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