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太陽のように温かい、本格料理を気軽に楽しめるまちのご飯屋さん | コシードデソル

2024.01.26

小田急線沿いにある、太陽マークの看板が目印のコシードデソル。食堂のように入れる気軽さがありながら、本格的な地中海料理が味わえる、町田の人々に愛される名店です。中町にある地中海料理店「コシード」の姉妹店にあたるコシードデソル。コシードの前身は、なんと40年近く前に町田街道で営業していたラーメン屋なんだとか。そんな興味深い歴史を持つコシードデソルの店主である田中健一さんに、お店のこと、料理のこと、そしてこのまちのことについて、お話を伺いました。

家族で守ってきた「コシード」の看板

銀座や渋谷に店舗を構えるスペイン料理店・びいどろで初代総料理長を勤めていたお父様が40年近く前に独立し、お母さまと共に町田街道沿いに開いたお店が、コシードの始まりです。お父様がラーメン好きなこともありラーメン屋としてオープンしましたが、得意分野である地中海料理店に少しずつ変化していったのだとか。トマトが入った地中海ラーメンなどが、当時の人気メニューだったそうです。

田中さん「父親がびいどろで働いていた当時は、スペイン料理店は珍しく、高級なものというイメージがあったようです。スペイン料理をもっと気軽に食べれるようにという思いで、定食のようにどんぶりご飯と箸で食べれるようなお店として、コシードが作られていきました。両親が町田街道で店をやっていたので、子どもの頃から町田にはよく足を運んでおり、時にはお店の手伝いをすることもありました。原町田大通りの拡張に伴い、本店もコシードは30年ほど前に、現在の場所に移動しています。

当時私は広尾の地中海レストランで働いていましたが、移転先の店舗が大きく人手が必要になったこともあり、両親、弟と共にコシードで働くことになりました。8年前に父が他界してからは弟と一緒に店を継ぎ、弟が本店を、私がコシードデソルを担当しています。」

本店のコシードは、比較的年齢層が低く、寮が近くにある青山学院大学駅伝部の学生さんが何十年も前から通っているんだとか。田中さんのお母さんは学生さんたちを可愛がっており、箱根駅伝で優勝した時はコシードで貸切パーティーを行ったこともあったそうです。

定食屋に行くような気軽さで

店舗が広く、パーティなどの貸切利用も多い本店に対し、バルのような落ち着いた雰囲気が特徴のコシードデソル。18年前、田中さんが37歳のとき、小田急線の線路を原町田大通り側に渡った場所に、新店としてオープンしました。

田中さん「町田は小田急線の踏切を渡るか渡らないかで大きく客足や客層が変わるので、より多くの方にお店を知ってもらうため、原町田にもう一店舗出したいという気持ちがありました。10年近くコシードで働いた後にオープンしたのが、コシードデソルです。『地中海料理をもっと気軽に食べられるように』という本店の思いを受け継ぎ、定食屋に行くような感覚で来てもらえるようなお店を目指しています。醤油も使いますし、オムライス、ハンバーグ、カレーなど、幅広いメニューをそろえている気軽さもありながら、本格的なスペイン料理もきちんと扱っています。うちでしか食べることができないオリジナルの創作料理なども、日々工夫しながら提供しています。」

スペシャル牛ステーキ

スープ、サラダ、ご飯、コーヒーがセットになった定食メニューがウリのコシードデソル。定食は、野菜たっぷりのスープとサラダ、美味しいお米、そして食後のコーヒーがセットという充実さが魅力です。自家製のドレッシングにも野菜をたっぷり使っており、ヘルシーな食事ができるのも嬉しいところ。メニュー数も多いうえ、毎日変わる日替わりメニューがあるため、お客さんからは「全部食べたいのになかなか制覇できない」という声もあがっているそうです。

田中さん「父の専門はスペイン料理ですが、それだけでお店をやっても町田で生き残るのは難しいと思っていたようです。なので、イタリア・スペインを含めた「地中海料理」店としてお店を作ったと聞いています。うちで一番人気の『スペシャル牛ステーキ』は、牛肉をレアの状態でスライスしたスペイン料理ですが、コシード特製のガーリック醤油をかけて、気軽に食べられる味付けにしています。パエリアやブイヤベースなどおすすめのメニューはありますが、これだけを食べに何十年も通ってくださる方もいる、一番人気のメニューがこの牛ステーキです。」

お客さんとの距離感を大切にする温かいお店に

コシードに「太陽」という言葉を加えて温かみをプラスした「コシードデソル」。店内は天井が高く打ちっ放しになっていたり、ファンが回っていたり、テラス席があったりと、海外にいるような気分を味わうことができます。


田中さん「当時町田にはテラス席のお店がなかったので、作りたい気持ちがありました。オープン当初は予算がなく叶いませんでしたが、後から作りました。すぐ後ろを電車が走るので、電車が好きなお子さんには最高の特等席だと思います。過ごしやすい季節の週末は、テラス席のご予約をいただくことも多いです。あまり広々とした空間ではありませんが、8名ほど座ることも可能で、大人数でワイワイ食事を楽しみたいときにおすすめです。


町田街道でスタートした当初は、一見何屋か分からないような提灯の灯るお店のカウンターに、たくさんの常連さんが集まるお店でした。それもあって、本店を移店するときも、料理を作っているところが見えて、お客さんと会話ができるカウンターメインのお店をつくりました。コシードデソルも気軽さという意味では同じように、軒先に赤提灯を掲げ、カウンターがあるお店になっています。コシードデソルを18年続けてきた中で、バイトも含め温かみのある接客を心がけており、長年通ってくださる常連の方との距離は近いと思います。従業員はとりたてて話が上手いというわけではありませんが、お客さんとコミュニケーションは何より大切にしています。うちのお店は優しいお客さんばかりで、とてもありがたく思っています。」

その場でつくった味を食べてほしい

最後に、長年町田で飲食店を営んできた田中さんから見る、町田の魅力について聞きました。

田中さん「町田はやはり交通の便の良さが魅力だと思います。電車1本で江の島や箱根に行けるし、東名高速道路のインターチェンジも近い。アウトレットやコストコもあって、なんでも揃う便利なまちだと思います。あとはモノレールが通ってくれたら完璧ですね。

飲食店に関して言えば、駅周辺はチェーン店、駅から少し離れたエリアに頑張っている個人店があるのが、町田の一つの面白さかもしれないなと思います。個人店は最初は少し入りづらいと感じることもあるかもしれませんが、ちゃんとその場で作った味を、若い人にも食べてもらえたら嬉しいです。」

飲食店がひしめく町田のなかで、長年愛され続けてきたコシードデソル。町田を訪れた際にはぜひ、身も心も温まる優しいお店に、足を運んでみてくださいね。

 

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