REPORT
【レポート&動画】MadeinSerigaya パークミュージアムラボ #2「親子にとっての公園のある豊かな暮らしとは?」
2020.08.09
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【レポート&動画】Made in Serigayaオンラインイベント#2「親子にとっての公園のある豊かな暮らしとは?」
【レポート&動画】Made in Serigayaオンラインイベント#2「親子にとっての公園のある豊かな暮らしとは?」▼詳細レポートはこちらhttps://machida.life/community_planning/1848/◎イベントについて町田市にある芹ヶ谷公園の2024年に向けた再整備プロジェクト、“芸術の杜”プロジェクトのコンセプトである「パークミュージアム」の実現にむけて 、様々な”公園で〇〇したい” という声を集め、実際に実験的な取り組みをおこなっていく市民参加型プラットフォーム「Made in Serigaya」では、芹ヶ谷公園の新たな活用について、リアルな場でもオンラインでも、立場を超えてみんなで話し合うイベントを開催してきました。オンラインイベントの第2弾となる今回は、公園のヘビーユーザーである「親子」をテーマに、公園の活用や子育てに関わる3人の専門家 鈴木美央さん(工学博士/O+Architecture代表社員)・相原里紗さん(保育士/のあそびっこプロジェクト)・中裕樹さん(森ビル株式会社タウンマネジメント事業部)と、町田市で子育て中の浦部知恵さん、市職員でもある渡辺智恵美さんの5人をゲストに、「親子にとっての豊かな公園」についてトークセッションを行いました。▼詳細レポートはこちらhttps://machida.life/community_planning/1848/
YADOKARIさんの投稿 2020年8月8日土曜日
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2024年の芹ヶ谷公園再整備にあたり、町田市は、市民をはじめさまざまな公園利用者・関係者からの声を聴いて活かす「開かれたプロセス」を大切にしながらプロジェクトを進めています。みんなの「公園でこんなことしたい!」を集めるプラットフォーム「Made in Serigaya」を立ち上げ、芹ヶ谷公園の新たな活用について、リアルな場でもオンラインでも、立場を超えてみんなで話し合うイベントを開催してきました。
▼Made in Serigayaで開催したこれまでの市民参加イベントの様子はこちらから
▼みんなの意見から作成された、芹ヶ谷公園活用アイデア集はこちら
オンラインイベントの第2弾となる今回は、公園のヘビーユーザーである「親子」をテーマに、公園の活用や子育てに関わる3人の専門家 鈴木美央さん(工学博士/O+Architecture代表社員)・相原里紗さん(保育士/のあそびっこプロジェクト)・中裕樹さん(森ビル株式会社タウンマネジメント事業部)と、町田市で子育て中の浦部知恵さん、市職員でもある渡辺智恵美さんの5人をゲストに、「親子にとっての豊かな公園」についてトークセッションを行いました。
約100名分のチケットが完売、参加者の中には北海道や福岡、京都の方などもいらっしゃり、コロナ禍を機に公園への関心や期待がいっそう高まっているのが伺えました。チャットでも活発にコメントが飛び交った今回のイベントの様子をレポートします!
公園の使い手とつくり手、両方の目線から
鈴木美央(すずきみお)さんは、工学博士であり建築の専門家。建築意匠設計から行政・企業のコンサルティング、公共空間の利活用まで、建築や都市の在り方に関わる仕事を多岐に行っている。2児の母でもあり、親子の居場所としてのまちの在り方も研究している。著書『マーケットでまちを変える~人が集まる公共空間のつくり方~』(学芸出版社)、第九回不動産協会賞受賞。
トークセッションの初めに、埼玉県志木市の団地に家族と住んでいらっしゃる鈴木さんが、日頃子どもたちと公園を利用している「使い手」としての目線と、公共空間活用・建築の専門家である「つくり手」としての目線の両方から、4つの話題を投げかけてくださいました。
1. 子どもともっとコミュニケーションを
遊具禁止の写真 写真提供:鈴木美央さん
鈴木さんが日常的にお子さんと利用している公園では、新型コロナウィルス感染拡大防止のために、写真のような措置と看板の掲示が行われました。これを見た鈴木さんは悲しい気持ちになってしまったそうです。緊急的に対策をしなければならなかった担当者も大変だったのだろうと思いやりながらも、「これが本当に子どもに伝えるべきメッセージなのだろうか?」と疑問を投げかけます。
看板 写真提供:鈴木美央さん
鈴木さん「子どもにとって公園や遊具はワクワクするもの。子どもが主役の遊具でありながら、子どもが置き去りになっているように思います」
このオンラインイベントの事前アンケートでも「最近の公園は禁止事項が多くて思うように遊べない」という意見が多数寄せられました。大人たちの管理のしやすさばかりが優先されてしまうのは問題です。
鈴木さんはこの看板に書くメッセージについて、社会の一員である子どもたちに向けた内容を工夫し、議員を通じて公式に採用してもらったそうです。それがこちらです。
この看板を見た5歳のお子さんが「あっち(以前の看板)はおとなっぽくて、なんでこんなこと書いてあるんだろうと思ったけど、パーくんはかわいかった」と反応したそう。写真提供:鈴木美央さん
鈴木さん「伝えるべきは、遊具の禁止が一時的なものであることと、他にも遊び場はあるよ、ということ。これを見た子どもたちが全てを理解しているかは分かりませんが、少なくとも子どもたちに近づこうとしていることは伝わっていると思います」
「管理」から「コミュニケーション」へ、公園もシフトして行く必要がありそうです。この時、このコミュニケーションの相手が誰なのかがポイントだと鈴木さんは言います。
鈴木さん「コミュニケーションの相手は『利用者』の方だと思います。利用者とコミュニケーションをとって信頼関係を築くことで、例えば地域の方々から苦情が上がってきた時でも、一緒に解決方法を考えていける。利用者から始まる公園の自治があるといいですよね」
コロナ下でのニューヨーク ドミノパークの写真。サークルを描くことでソーシャル・ディスタンスを守らせるこの方法について、「非常時とはいえ管理者と利用者の間に信頼関係がないんだなと少し残念に感じた」と鈴木さん。Via:https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-05-22/ecstatic-and-terrified-americans-are-rushing-out-of-their-homes
このコミュニケーションの重要性は、子どもに限らず大人の利用者に対しても言えることです。たくさんの禁止事項を設け、ルールを守らせることで思考停止してしまう「管理」ではなく、みんなが公園でできることが増え、そこが居場所になるような新しい公園の在り方・価値をコミュニケーションを通じてつくっていくことが、芹ヶ谷公園でも大切になっていきそうです。
2. 使い手目線での公園設計
写真提供:鈴木美央さん
「子どもにとっての良い公園」とは、どんな公園でしょうか? 例えばこの写真のような立派なすべり台がある公園は、確かに子どもたちにとって魅力的に映るかもしれません。しかし鈴木さんはご自身の幼少期も振り返りながら、「遊びってこんなふうに与えられるものだったっけ?」と疑問を投げかけます。
鈴木さんは、外で遊んでいた子どもたちが雨に降られ、マンションの自転車置き場で雨宿りしながら5歳〜中学校1年生までが一緒になってカードゲームを始めた、という例を挙げ、「自分たちで勝ち取った遊びや遊び場の方が記憶に残るし、喜び・学びにもつながる」と示唆。公園においても、遊具を充実させるだけではなく、子どもたちが創造性を発揮して遊びをつくり出せる場も大切なのかもしれません。
鈴木さんが設計に携わった尾瀬の「道の駅」に設置されている砂場。写真提供:鈴木美央さん
では、「親にとっての良い公園」とはどんな公園でしょうか? 写真は鈴木さんが設計に携わった、ある道の駅の砂場です。砂遊びをしている子どものそばで、暑い日も寒い日もただ立って待っていなければならないという鈴木さん自身のご経験を踏まえ、この砂場には縁にベンチを設け、木を植えて木陰ができるようにしました。木が育つまではパラソルで日陰をつくっています。見通しも良くして、親がお茶を飲みながら安心して子どもを見守ることができる工夫をしました。
芹ヶ谷公園の再整備においても、このように「親子双方にとっての良い公園」を、使い手の目線になって設計していくことが重要だと言えそうです。
3. 地域の出会いの場としての可能性
写真提供:鈴木美央さん
公園は、子どもにとっても、親にとっても、近所の人や同じ地域で暮らす人との出会いの場になっています。通っている保育園や学校、学年が違っていても、公園で遊ぶ子どもたちが自然と友達になるのはもちろん、子どもを見守っている親同士の間にも挨拶や会話が生まれ、そんな機会を何度か経るうちに顔見知りになっていきます。
鈴木さん「このコミュニケーションの良い所は、ゆるやかな関係だということ。名乗らなくてもいいし、話したくない時は無理に話さなくてもいい。大人にとっての酒場のような距離感で接することができます。ここで顔見知りからもう一歩進んで、友達になれるくらいのきっかけづくりはできるんじゃないかと思います。地域の出会いの場としての公園のポテンシャルを引き出すためのちょっとした『操作』、例えばコーヒーを販売するとか、週1回でも新しい機能を公園に付加するとか、人同士の距離を近づけるためのファシリテーションを行うことで、公園が、自分から発信する場や働く場、教育の場として活用されていく可能性もあります」
4. 活用から日常を変える
鈴木さんが志木市で主催している「柳瀬川マーケット」の様子。写真提供:鈴木美央さん
鈴木さんは、お住まいの志木市の団地の近くにある柳瀬川公園を市から借りて、年に2回ほど、地域住民たちのためのマーケット(マルシェ)の会場として活用しています。イギリスで暮らしていた時に、ふだんは人通りもさほどない住宅街の通りが、マーケットがある日はたくさんの人たちで賑わい、楽しげな景色に変貌する様を見て「マーケットが街を変える」ことに興味を持った鈴
木さんは、それから国内外のたくさんのマーケットを研究し始め、その研究成果を自分も実践してみようと2016年からこの「Yanasegawa Market」を始めました。
鈴木さんが主催している公園マーケットの第1回(写真左)と第10回(写真右)の変化に注目。回を重ねるうちにこの公園マーケットが住民たちにとって「日常」になり、それぞれが自分らしく公園を楽しむ風景が見られるようになった。写真提供:鈴木美央さん
鈴木さんと、もうお1人の友達とで始めたこのマーケットは、初期の頃は人もまばらでしたが、開催を重ねるにつれ次第に認知されるようになり、出店者も増え、今では多様な年齢の地域住民が集い楽しむ、志木市の風景の一つになりました。
また、鈴木さんは建築家としての経験から、この公園の良さや地形をうまく生かし、自然に人が回遊したり、コミュニケーションを取り合うようなお店の配置やお客さんがくつろぐ場所などを工夫しました。
マーケット開催とちょっとした場の「操作」を続けた結果、この公園に集まる地域住民それぞれが、敷物やキャンプ用の椅子を持参したり、住民同士で交流したりして、公園を「使いこなす」ようになったそうです。
鈴木さん「イベントとして人を集めるのではなく、この公園をどんなふうに使ってほしいのか。マーケット自体を日常として捉えることが大切です」
公園はまちとつながる開かれた場
相原里紗(あいはらりさ)さんは保育士としてさまざまな保育現場で子どものあそび環境を見つめてきた。「子どもと共に働く」を実験するべく、第一子出産後独立し、親子・野遊び・地域を軸とした「のあそびっこプロジェクト」を主宰、園の外での保育士の働き方を探求している。
鈴木さんのお話を受けて、ゲストの相原さん、中さんからもコメントがありました。
相原さん「このコロナ禍で保育園も休園しており、毎日子どもと30分くらいかけて公園へ行って2〜3時間過ごしていました。異年齢の子どもたちが混じり合って遊べるのが公園の良い所ですよね。例えば2年生の子に4年生の子が『危ないよ』と注意するなど、子ども同士のコミュニケーションが行われています。公園におけるコミュニケーションの生まれ方は、設計によっていろんな可能性があるんだろうなと思いました。支援センターなどの閉じられた空間に比べて公園は開かれた空間ですし、来ているのもまちの人なので、子どもが公園を通じてまちに滲み出ていく感覚を親として感じます」
中裕樹(なかひろき)さんは森ビル株式会社タウンマネジメント事業部に所属。これまで虎ノ門ヒルズのヨガ、フラワーマート等のイベント企画やTOKYO MURAL PROJECTなど新虎通りを含めたエリアの活性化、清掃活動を通じたコミュニティづくりに携わってきた。個人のボランティアとして、南池袋公園のnestマルシェ、ikebukuro living loopにも参加、まちの課題をみんなの力で解消する「みなとーく」を主催。
中さん「在宅勤務で子どもと長い時間一緒にいて、パークマネジメントの在り方を改めて考えさせられました。僕は人見知りなので、公園での関わりすぎない距離感や匿名性のある関わり方が個人的にとても良いですし、子どもも3月生まれなので運動が苦手で、学校などでは同じ学年の子に置いていかれちゃうことに引目があるんですが、その点でも公園で異年齢が関われるのは良いなと思いました」
写真提供:鈴木美央さん
参加者の方からも、鈴木さんのお話に対してチャットで次のようなコメントが寄せられました。
町田在住の男性「公園は子どもにとっても友達作りの場になりますよね! 公園で友達になった子と一緒に小学校へ通ってたのを思い出しました」
芹ヶ谷冒険あそびばの岡本さん 「芹ヶ谷公園でスケボーやっている子たちがすごく多くて、その子たちにスケボーを自由にできる場所をつくってほしいと自分たちで声をあげたらと話したら、どうやったらできるの?と言っていました」
男性 「公園の可能性を高めるには、公園を利用しないステークホルダー(例えば周辺住民や近隣店舗)との合意形成が重要だと感じる日々です」
女子高校生 「芹ヶ谷公園ではお年寄りの方も見かけますが、子どもの方が断然多いと思います。私はおばあちゃん世代の人とお話するのが好きなので、もっとお年寄りの人ともつながれるようなコミュニティができるといいなと思います。世代間交流はとても大事だと思っていて、長年の知恵などお年寄りの方ともっとコミュニケーションがとれる場所がほしいです」
写真左/町田市在住の浦部知恵さん。右/町田市職員の渡辺智恵美さん。
また、町田市の2人のゲストからは、こんな感想が聞かれました。
浦部さん「8年前に町田に引っ越してきて2人の子どもを育てています。まだうちの子が小さい時に、近所の公園で小学校4年生の女の子が遊んでくれたのをきっかけに顔見知りになり、彼女の成長過程を同じまちの中でずっと見てきました。中学生になって男の子と歩いているなとか、挨拶が疎遠になる時期があって、少し成長してまた挨拶してくれるようになったり。そういうゆるやかなつながりが公園から生まれるって良いですよね」
渡辺さん(町田市公園緑地課)「公園に子どもといると、保育園でもなく小学校でもない異年齢のコミュニティができます。公園だけで出会う友達がいるんですよね、自分もそうだった。いろんなところでそういうコミュニティが発生してるんだな、芹ヶ谷公園でも同じことが起こっているんだろうなと感じました」
第2部 トークセッション
第2部では、9つのテーマに基づいて、ゲストもオンライン参加者も一緒に「親子にとっての公園のある豊かな暮らし」について考えを伝え合いました。そのハイライトをご紹介します。
子どもの目線
写真提供:鈴木美央さん
鈴木さん「今日のイベントの話を子どもにしたら『子どもにとっての公園の話をするなら私が出た方がいいんじゃないの?』と7才の子に言われたんです。日頃、行政と仕事をする時も利用者や子どもの目線の話がほとんど出なくて、そういう話になると私だけの意見が通ってしまうのは危険だと思っています。子どもの意見も入れるべきですよね」
相原さん「ユニセフの『子どもにやさしいまちづくり事業(Child Friendly Cities Initiative)』では、国連で採択された『子どもの権利条約』に基づいたまちづくりを行なっているんです。日本は2019年に国連から勧告が出たくらい、条約を批准しているのに緊急措置を取るべき分野だと言われています。子どものことを話している場なのに、子どもがいない。子どもの意見をどうやって取り入れていくといいのかというような手法も話されていくべきですし、子どもの意見を引き出せる人材や、年齢に合わせたコミットメントも必要ですね。出た意見が何にもならなかったとなると大人への信頼が一気に失われますから、この意見がどう取り入れられるのか、どう扱われるのかを明言した上でやることが重要です」
町田市も日本ユニセフとの検証実験から「子どもにやさしいまちづくり計画」を進めていますが、社会の一員としての子どもの人権に配慮する、という視点が日本の社会にはもっと必要なのかもしれませんね。
公園にいる人のマインド
写真提供:相原里紗さん
参加者のチャットからの「公園=子どもの場という認識が強すぎて、子どもを連れていない男性が1人でいると怪しまれるというのはわかります」というコメントを受け、子どもを含め多様な人々が利用する公園における、みんなにとっての心地よい在り方について話が展開しました。
鈴木さん「一つは、設計でも解決できるかもしれません。遊具があると子どもの場所となりますが、例えばそこで大人が本を読んでいても違和感のない空間づくりや遊具の選び方によって、大人と子どもが交わりやすい場、多目的な場は設計できると思います」
相原さん「公園で音楽を練習しているお兄さんがいて、『男性1人』ということではなく『音楽をやっている楽しそうな人』だと、子どもも一気に近づきやすくなるんですよね。そこが多目的な場所であれば、子どもと大人の距離も近くなると思います」
写真提供:中裕樹さん
中さん「公園をつくる側・管理する側の事業者の視点からお話しすると、クレームだけじゃなく『これいいよ!』と行政や事業者へ伝えることも大事だと思うんです。今はクレームだけが届きがちですが、『イベント楽しかったよ』などの意見をメールで送るだけでもモチベーションが上がると思います。楽しかった声が拾える『いいね窓口』があるといいですよね」
鈴木さん「ラウドマイノリティ=声の大きい少数派のために、多くの人の楽しみが奪われているように思います。一握りの少数とのコミュニケーションがうまくいかないために禁止事項が増えていて、全然パブリック(公共)じゃない」
中さん「グリーンバード(ゴミ拾い)の活動を虎ノ門でやっているんですが、清掃は誰でもできるし、子どもも遊びみたいに楽しくやってくれます。この活動にはまちがきれいになる以外にも良いことがあって、ゴミ拾いをした人はそのまちへのロイヤリティが高まる。まちの見方、まちへの関わり方への気づきがあるんですね。大掛かりなイベントをやらなくても日常的なことで、子どもにも関わってもらうことをやると良いと思います」
鈴木さん「まちへのつながりを感じられていれば、自分がまちに関わっていてまちに必要なことの理解ができていれば、クレームを出さなくなるんですよね。まちに関わる敷居を下げていくことこそ、クレームを減らすことにつながると思います。騒音のクレームも、知らない人の音だとクレームになるけれど、顔を知っている人の音だとクレームにならないという事実があるんですよ」
相原さん「公園は平等な場であることが大事だと思います。誰でも使える、子どもの育ちにとっても、親の育ちにとっても良い場所になっていくといい。
自分の意見をどう伝えていったらいいかの理解も重要です。このまちで生きていく中での『育ちの場』として公園を捉えられるといいですね」
参加者の声
写真提供:鈴木美央さん
オンラインイベント開催中には、参加者の皆さんからチャットでたくさんのコメントが活発に寄せられました。その一部をご紹介します。
●海外の公園に行くと、公園の使い方が幅広いな、と感じます。読書もしていたり、歌っていたり、楽器を弾いたりしていて、それが受け入れられている風土が素敵だと思います。
●NYの公園局に務めている人の話を聞く機会があったのですが、公園内に飲食等の施設があるというわけではなく、公園があることが地域の価値を上げるという視点で、公園周辺の飲食店舗等が充実しているという話を聞きました。公園内で完結するのではなく、公園周辺との共生を視野に入れたまちづくりができると、地域の商業も潤うという相乗効果が生まれると思います。
●禁止事項って、誰の目線で決まっていて、どうして守らなきゃいけないのかってふと疑問に思ってしまいます。意外と使う人たちは気にしてなかったり、禁止事項とは全く違うことを求めてたりすることもあるような気がします。使う人たちが求めていることを柔軟に取り入れて変化していけると公園に限らずいろんな場所が自由になれるんじゃないかなって思います。
●子どもの時から行っていた公園の遊具がどんどん撤去されているのは、遊具を使いこなせない子どもたちの体力の低下と、それを遊具のせいにする親の価値観という今の残念な状況もあります。
●クレーム窓口じゃなくて「いいね窓口」良いですね! 情報開示する体制が重要ですね。クレームも「いいね」も。
●クレームが来たからといってその事項を愚直に禁止してしまうイメージがあります。それでやりたいこと・したいことを始めなくなるという悪循環が生まれている気がします。問題の本質を話してより良い空間を目指すことが本来必要ですよね。
●地域への愛着を育む場所が、公園になっていくといいですね。
●とても元気を頂きました! 既に15年前に経験してきた事を若い方々が同じように経験し、楽しみ活動されている事に日本の将来が楽しみになりました!
●ありがとうございました。小学生の子どもたちもいろいろやりたいことある
と言っていますので親子で今後も参加したいです!
●町田市民で良かったです! これからもよろしくお願いします!
有志による公園活用実験企画会議「アジト」に参加しませんか?
写真は、2020年2月に芹ヶ谷公園で開催した実証実験の一つとしてのイベント「ファイヤーミーティング」の様子。多様な人々が焚き火を囲み、ポップコーンとコーヒーを手に、自然に交流し合う状況が生まれた。
Made in Serigayaでは、引き続き社会情勢を鑑みながら、オンラインやオフラインで芹ヶ谷公園の未来の活用を考えるイベントを開催していきます。そこでいただいた市民のみなさんからのアイデアを実現に向けて検討していくために、実際に芹ヶ谷公園でやりたいことを小さく試してみる「実証実験」も並行して行なっていきます。
芹ヶ谷公園の活用実証実験の企画会議「アジト」は、オンラインでこれまで3回開催されている。
この実証実験の企画を考える作戦会議「アジト」を、隔週1回・オンラインにて開催しています。アジトの活動にご興味のある方、また、「芹ヶ谷公園でこんなことをやってみたい」という方は、気軽に下記のメールアドレスまでご連絡ください。一緒に自分たちの手で芹ヶ谷公園の未来をつくっていきましょう!
▼Made in Serigaya お問合せ先 made.in.serigaya@gmail.com
◎今回のスペシャルゲスト
鈴木美央 博士(工学)/建築家
O+Architecture(オープラスアーキテクチャー合同会社)代表社員。 早稲田大学理工学部建築学科卒業。卒業後渡英、Foreign Office Architects ltdにてコンセプトステージから竣工まで世界各国で大規模プロジェクトを担当。帰国後、慶應義塾大学理工学研究科勤務を経て、同大学博士後期課程、博士(工学)取得。現在は建築意匠設計から行政・企業のコンサルティング、公共空間の利活用まで、建築や都市の在り方に関わる業務を多岐に行う。二児の母でもあり親子の居場所としてのまちの在り方も専門とする。著書「マーケットでまちを変える~人が集まる公共空間のつくり方~」(学芸出版社)、第九回不動産協会賞受賞。
相原 里紗 保育士/のあそびっこプロジェクト
1986年生まれ。早稲田大学国際教養学部を卒業後、(株)オールアバウトに入社。その後国家試験で保育士資格を取得し、保育士として様々な保育現場で子どものあそび環境を見つめてきた。「子どもと共に働く」を実験するべく、第一子出産後フリーランスに。親子・野遊び・地域を軸とした「のあそびっこプロジェクト」主宰。その他、親子向け新規事業の企画・運営やアドバイザリー、子育て・アウトドアライターなど園の外での保育士の働き方を探求中。2歳、0歳男児の母。アウトドアとビールが好き。
中裕樹 森ビル株式会社 タウンマネジメント事業部 パークマネジメント推進部兼TMマーケティング・コミュニケーション部
2008年森ビル株式会社入社。虎ノ門ヒルズのヨガ、フラワーマート等のイベント企画やTOKYO MURAL PROJECTなど新虎通りを含めたエリアの活性化、グリーンバードの清掃活動を通じたコミュニティづくりに携わる。 2019年11月よりパークマネジメント推進部に異動し、今後竣工予定の虎ノ門・麻布台プロジェクト、虎ノ門ヒルズエリアプロジェクトのランドスケープ企画に携わる。六本木ヒルズで毎月開催している朝のトークイベントHillsBreakfastの企画も担当。個人のボランティアとして、南池袋公園のnestマルシェ、ikebukuro living loopにもcastとして参加。東京都港区に妻と3歳の息子と暮らし、まちの課題をみんなの力で解消する「みなとーく」を港区議横尾氏とともに主催。
◎Made in Serigayaとは?
東京都町田市にある、国際版画美術館と豊かな自然を保っている芹ヶ谷公園。その芹ヶ谷公園の2024年に向けた再整備プロジェクト、“芸術の杜”プロジェクトのコンセプトである「パークミュージアム」の実現にむけて 、様々な”公園で〇〇したい” という声を集め、実際に実験的な取り組みをおこなっていく市民参加型プラットフォームです。