REPORT

【レポート】MadeinSerigaya パークミュージアムラボ #3 公園を舞台としたアートの可能性〜アートのある公園が創る新たな未来〜

2020.11.17

町⽥駅前から徒歩10分あまり、町⽥市⺠に30年以上に渡って愛され続けている芹ヶ⾕公園の再整備計画が進んでいます。公園全体をみんなの表現や活動の場にしていく「パークミュージアム」をビジョンに掲げ、それを現実化していくために、公園の「使い⼿」である市⺠の⽅々と、「つくり⼿」である⾏政をはじめとした関係者が、⼀緒にアイデアや意⾒を出し合いながら未来の芹ヶ⾕公園をつくっていこうとしています。

▶これまでの市⺠参加イベントの様⼦はこちら

町⽥市が描く「パークミュージアム」のイメージ図。詳細は市のホームページで公開されています。

その共創プラットフォーム「Made in Serigaya」において、8⽉7⽇にオンライン配信としては第3回⽬となるイベントを開催しました。テーマは「公園とアート」。アートというと美術館や劇場を思い浮かべる⼈も多いのではないでしょうか。しかし近年では、公共の場所やまちなかでのアートフェス、アートマーケットなどのイベントも増え、私たちとアートの接点は広がりを⾒せています。

芹ヶ⾕公園の再整備計画においても、公園全体を表現や活動の場として捉え、⼦どもから⼤⼈まで多様な⼈が創造性を発揮して楽しめる場にしていきたいという想いがあります。

今回のイベントでは、アートを介して企業や⾏政・市⺠・まちをつなぐ活動をしているアートメディエーター冠那菜奈(かんむりななな)さん、横浜市で「アートによるまちづくり」を推進するNPO 法⼈ ⻩⾦町エリアマネジメントセンターのキュレーター内海潤也さん、そして町⽥の⽂化発信の場にもなっている「町⽥パリオ」のスタッフ塚原結友さん、町⽥市⽂化振興課の⼤⽵礼奈さんをゲストにお迎えし、さまざまなパブリックアートの事例も伺いながら、公園を舞台にしたアートの可能性をみんなで探求しました。その様⼦をレポートします!


冠那菜奈(かんむりななな)さんは、武蔵野美術⼤学芸術⽂化学科卒業。アートと社会をつなぐ仕事をつくっていこうと志し、「ヒト・モノ・コトをアートでより良い形でつないでいく媒介者=アートメディエーター」として活動中。2019年にクリエイティブユニット「Urban Knit」を⽴ち上げ「⽴⾶パブリックアートアワード2020」を受賞、2020年4⽉にオープンした⽴川GREENSPRINGSにて作品を設置した。http://www.tiarart.com/

まちなかに創造の拠点を。

としまアートステーション構想イベントではまず、冠さんがこれまでに携わったさまざまなパブリックアートに関する事例の中から、東京都豊島区で⾏われたプロジェクト「としまアートステーション構想」について紹介していただきました。


としまアートステーション構想 」は2012年〜2017年に渡って東京都豊島区で推進された、市⺠参加型のアートプロジェクト。資料提供:冠那菜奈さん

「としまアートステーション構想」とは、アートを⽣み出す⼩さな拠点「アートステーション」をまちなかにつくり、さまざまな⼈々が地域資源を活⽤して主体的にアート活動を展開することを⽬指したプロジェクトです。

冠さん「このプロジェクトで重要視したのは、まちを構成するいろんな⼈たちが⾃発的にアートや、何かの営みを⽣み出すようになることです。アートステーションはそのための起点。私たちは、⾃らやりたいことに向かって動く、⾃ずと転がる⼈を『オノコラー』と名付け、そういう⼈がこのプロジェクトを通じて増えていくことを⼤切にしました」

資料提供:冠那菜奈さん

プロジェクトの中では「アートステーションZ・Y・X」という3つの試みを中⼼に、市⺠が参加してさまざまなアート活動が繰り広げられました。

1つ⽬の試みでは、豊島区雑司ヶ⾕にあった区の遊休施設を活⽤した「アートステーションZ」で、 EAT&ART TARO さんをはじめとする多彩なアーティストが地域住⺠とワークショップを⾏ったり、カフェを開いたりして、たくさんの出会いが⽣まれました。

次のステップでは、⺠間が持っている場所をアートステーションにするチャレンジとして、豊島区で活動しているクリエイティブユニット「⼭⽥⼭本」と⼀緒に⽊賃アパート⼭⽥荘の中に「アートステーションY」を整備。アーティストの中崎透さんをはじめとしたさまざまなメンバーが住むアーティスト・イン・レジデンスとして活⽤しながら、そのメンバーや市⺠たちが⼀緒にまち歩きをして地域の中で作品の展⽰会場になりそうな場所を発掘し、誰でも無償・無審査で出展や鑑賞ができるアンデパンダン展を公園で開催したりしました。


資料提供:冠那菜奈さん

さらに「アートステーションX」では、「X」を何かと何かを掛け合わせる記号に⾒⽴て、豊島区のいろんな場所にアートステーションをつくろうというコンセプトで、公⺠館や介護福祉施設、タワーマンションなど多様なスポットでアートに触れ合える機会を⽣み出しました。この時は豊島区役所の中に「アートステーション構想推進課パフォーマンス窓⼝」という架空の課もつくり、⾃分で何かやってみたい市⺠がいつでも説明を受けたり、アートステーションを体験できるようにしました。
資料提供:冠那菜奈さん

これらのユニークな活動は、最後に報告書ではなく「カードゲーム」としてまとめられ、誰もが楽しく「アートステーション」のつくり⽅や活動のヒントが得られるように⼯夫されています。

冠さん「このプロジェクトでは、みんなが⾃発的にプロジェクトをつくり出すプレイヤーになるにはゲームだ!と思いつき、カードゲームという形にまとめました。アートステーションをつくる過程で⼈と出会ったり、いろんな出来事が起きたりする擬似体験ができます。このプロジェクトは2017年に終了しましたが、豊島区では現在、オノコラー市⺠のみなさんが⾃分たちで⾯⽩い拠点をつくったり、活動を始めたりしています。

アートは敷居が⾼いと思われがちですが、元々は『アート=技』という意味。絵画や彫刻に限らず、⽣活の⼯夫もアートと⾔えます。美しいものをつくる・⾒るということだけでなく、⽇々の暮らしから派⽣したいろんなものと場がくっつき合って⾯⽩い活動が⽣まれる実験が『アートステーション構想』。芹ヶ⾕公園の『パークミュージアム』もきっとそういうふうになったら⾯⽩いんじゃないかと思います」


⽴川グリーンスプリングスに設置された、冠さんたちのクリエイティブユニット「アーバンニット」による作品「テレフォン・アフター・オール」。
写真提供:冠那菜奈さん

パブリックな場所でアートが⼈をつなぐ

また、冠さんは、兼平翔太さん、鶴岡諭さんと3⼈で結成した「アーバンニット」というクリエイティブユニットで、東京都⽴川市に新しくできた⽂化都市空間「グリーンスプリングス 」に設置するパブリックアート作品の選考会「⽴⾶パブリックアートアワード2020」に応募、⾒事受賞されました。

その作品は「テレフォン・アフター・オール」という、今ではあまり⾒かけなくなった公衆電話を題材にしたもの。「ウェルビーイング」をコンセプトにホールやホテル、ショップ・レストラン、オフィスなどが組み合わさった複合的な施設であるグリーンスプリングスの⼀画にユニークな電話ボックスを設置することで、それをある種のメディアとして、多世代の多様な⼈たちがつながり合うことを意図したそうです。


写真提供:冠那菜奈さん

施設内の屋外にある階段を使って2ヶ所に設置された⾚と緑の電話ボックスは通話できるようになっており、知らない⼈同⼠が偶然に話ができる仕掛けです。電話ボックスを知らない⼦どもにご年配の⽅が使い⽅を教える場⾯も⾒られたそうです。電話ボックスには本棚もあり、誰もが本を⾃由に読めると同時に、⾃分が持ってきた本を本棚に置いておくこともできます。

パブリックな場所でアートがいろんな⼈をつなぐ実例の⼀つであり、まちの中で⾯⽩いことをするヒントにもなりそうですね。


内海潤也さんは東京藝術⼤学⼤学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻を修了し、現在は横浜市⻩⾦町のNPO 法⼈ ⻩⾦町エリアマネジメントセンター http://www.koganecho.net/ でキュレーターとして活動中。2018年からは⻩⾦町のまちなかを舞台にアート作品を楽しむイベント「⻩⾦町バザール」のキュレーションにも携わる。

「パブリックアート」とは?

続いて、横浜市の⻩⾦町という、アートを活⽤したエリア活性を⾏っているまちでキュレーター(作品や⽂化のお世話をする⼈)として活躍している内海潤也さんから、分かるようでよく分からない「パブリックアート」とは何なのか、また、⻩⾦町にアートが加わったことでまちにどんな変化が起こったのかなどについてお話しいただきました。


芹ヶ⾕公園の中にも、彫刻噴⽔をはじめパブリックアートがあちこちに展⽰されている。芸術に特に関⼼がなくても、オープンな公共空間に作品があることでアートに触れるきっかけになる。

内海さんによると、「パブリック=公共性」とは、⽇本語の「公共」では1つの意味に集約されがちですが、英語を使って紐解いてみると3つの概念に分解できるそうです。

①オフィシャル:公的な、公認の、公式の
②コモン:共通の、共有の
③オープン:開かれた、公開された、誰でも参加可能な

例えば国⽴美術館などの収蔵庫に保管されている美術品は国⺠のものではありますが、アクセスできる⼈が限られているため、私たちにとってはあまり「パブリックアート」という感じはしないでしょう。

⼀⽅で、直島に設置されている草間彌⽣さんのかぼちゃの作品などは、ベネッセコーポレーションという企業が所有している点でプライベートな美術品ですが、誰でもアクセスできる場所に設置されているため、私たちにとっては「パブリックアート」と認識されます。

つまり私たちが体感できる「パブリックアート」は、公共空間に置かれていて誰もがアクセスしやすい「③オープン性」が鍵になっていると⾔えます。そういった意味で、まちなかや公園にはオープン性があり、みんなが気軽にアートと触れ合える格好の舞台になり得ます。

芹ヶ⾕公園の虹と⽔の広場にも、ステンレスで造られた⾼さ16m の「彫刻噴⽔・シーソー(飯⽥善国作)」をはじめとしたいくつかのモニュメントが設置されていますが、これも私たちに⾝近なパブリックアート。アートは建物の中で鑑賞するだけでなく、私たちの⽣活圏にもっと⽇常的に存在しても良いものなんですね。

⻩⾦町・⽇ノ出町の⾼架下辺りは、かつては⽇本有数の⻘線地帯だった。2005年に警察による違法特殊飲⾷店の⼀⻫摘発が実施され、その後、ま
ちのイメージアップを図るためアートによるエリア再⽣が始まった。資料提供:内海潤也さん

アートによるまちの再⽣「⻩⾦町バザール」

内海さんがキュレーターとして携わっている「⻩⾦町バザール」は、⻩⾦町〜⽇ノ出町です。

このエリアは、かつては売買春宿2005年に警察による⼀⻫摘発「バイバイ作戦」が⾏われ、そうした店舗は根絶されました。その後、空き店舗だらけになったまちをアートの⼒で再⽣しようと2008年に始まったのが「⻩⾦町バザール」です。そして、翌2009年には、このエリアのまちづくりをマネジメントするためにNPO 法⼈ ⻩⾦町エリアマネジメントセンターが設⽴されました。


インスタント・コーヒー《Instant Coffee Pink Noise Flags》2018年、布、紐/インスタレーション、⼤岡川上空 Courtesy of Koganecho Bazaar 2018 photo by Yasuyuki Kasagi。
⻩⾦町バザールでは世界中から招聘したアーティストたちの作品が展⽰され、期間中は誰でも⾒ることができる。展⽰にあたっては管轄している機関や物件オーナーなどに主催団体が個別に申請、許可を取っている。


インスタレーション⾵景、エスクリ《ワンダースタジオ》2018年、サウンド、カセットテープ、カセットデッキ/インスタレーション、旧ヘアーサロン Courtesy of Koganecho Bazaar 2018 photo by Yasuyuki Kasagi

スピーク・クリプティック《From Our Hands To Our Many Mouths》
2018年、壁⾯にアクリル、初⾳ウィング壁⾯ Courtesy of Koganecho Bazaar 2018 photo by Yasuyuki Kasagi

内海さん「まちの中には多様な⼈がいて、アートに関⼼がある⼈も、そうじゃない⼈もいますが、『まちづくり』を理由にアートの展⽰許可を打診すると理解を⽰していただけたりします。どんな⼈に、どのように交渉したらアートを置くことができるのか、そのノウハウを知れることも⾯⽩さですね。アートがまちに散らばることで、ふだんは⼈が⾏かない所に⼈が⾏くようになり、⼈の流れが変わって、まちが変わっていきます」

⻩⾦町エリアマネジメントセンターでは、毎年の⻩⾦町バザール(イベント)の開催だけでなく、国内外のアーティストや⼯芸家、デザイナー、建築家などのクリエイティブな分野で活動している⼈を対象にしたアーティスト・イン・レジデンスプログラムも実施しています。このエリア全体が、⽇常的にまちの中に多数のアーティストたちが暮らす「巨⼤なアーティスト・イン・レジデンス 」でもあるのです。

アーティストたちが制作や展⽰を⾏うスタジオや展⽰会場がまちの中に点在しており、地域コミュニティとアーティストとの距離は近くなり、互いに交流しながら刺激を与え合う関係をつくっていけます。

町⽥でも、パークミュージアムである芹ヶ⾕公園をきっかけにクリエイティブで⾯⽩い⼈がまちに増え、彼らと交流することで、まち全体が創造的な未来へと発展していけたらいいですね。

第2部:トークセッション

第2部では「町⽥パリオ」のスタッフ塚原結友さん、町⽥市⽂化振興課の⼤⽵礼奈さんも加わり、イベント参加者からチャットに寄せられた質問も交えながら、公園を舞台としたアートの可能性についてトークセッションを⾏いました。そのハイライトをご紹介します。


「町⽥パリオ」のスタッフ 塚原結友さん。⽟川⼤学芸術学部卒、町⽥市在住。「まちだのまちとひとのかけ橋に」というコンセプトのもと、町⽥の魅⼒を掘り起こし、街と⼈がつながる仕掛けを⽇々考案している「まちだはまちだプロジェクト」のメンバー。ギャラリー、会議室、⼤型イベントスペースの運営や、「まちだのいいもの・いいこと」を発信する主催イベント「パリコレッ!」をはじめ、地域に根ざしたイベントを⾏っている。

Q1:公園ならではのアートの役割

冠さん「公園は、⽇本だとどうしてもオフィシャルな意識が強すぎる場になっている気がしますが、本来は市⺠1⼈1⼈のための場。公園で体操するみたいに、アートがあることで頭の体操になるんじゃないかな。誰が、何のために、どうつくったのか、それを⾒て⾃分はこう感じる…そんな想像⼒を働かせるきっかけをもらえるんじゃないかと思います。誰でもアクセスできる場所というのが公園ならでは。遊具だけじゃない、何だろう?と思うものがあると⾯⽩くなりそう」

内海さん「芹ヶ⾕公園の中に点在している彫刻のように、抽象的で有⽤性から離れたのものだと想像⼒の取っ掛かりになりますよね。有⽤性がないことで喚起されるものもある。それを肌感覚で体験するのはすごく重要だと思います」

冠さん「ニューヨークなどではかなり意識的にそれをやっています。それがあることで市⺠が豊かになるという理由で。機能が決まったものだけだと、それ以上の発想にならないんです」


⼤⽵礼奈さん(町⽥市⽂化振興課)。市役所内の組織を横断して構成されているMade in Serigaya プロジェクトのメンバー。芹ヶ⾕公園以外にも「いつでも、どこでも、誰でも、あらゆる⽂化を楽しむまち」となることを⽬指す町⽥市⽂化プログラムなど、町⽥市の⽂化振興にまつわるさまざまなプロジェクトに参画。

⼤⽵さん「公園だからこそアートが広がる可能性があると思います。美術館は、美術に興味がある⼈しか基本的には来ませんが、公園ではオープンにいろんな⼈がいろんな活動をしていて、アートに興味がない⼈でも接点を持つきっかけになります。例えば芹ヶ⾕公園の『⽔の彫刻』も、みんなは彫刻作品として⾒ていなくて、⽔遊びのパラダイスになっている。でもそれで興味を持った⼈が、その作家さんの版画を版画美術館に⾒に⾏ってみようとなるかもしれない。公園にアートのいろんな要素を⼊れていけたら⾯⽩いと思って、このプロジェクトに関わっています」

Q2:⼦どもにとってのアートとは?

チャットから相原⾥紗さん(Made in Serigaya オンラインイベント#2 にご登壇いただいた保育⼠さん)「公の場でアーティストが出会う壁と⼦どものあそびが出会う壁がすごく似ていてびっくりしてます」

⼤⽵さん「公園で⼦どもがどう遊べるかに、いかに懐を深く持つかという問題は、アーティストが公園でアート活動をしていきたい時にどうサポートするかという問題と似ている話ですよね。先⽇、公園での活動の実証実験として、⼦どもたちと⼀緒に森を散歩して拾った枝を使って、上を歩くとパチパチ⾳がする『枝の道』をつくったんです。⾒る⼈によってはこれも⾝近なアート。⾼尚なものではなく、みんなのふだんの活動やちょっとしたものが広義でのアートです。そんな⼩さな活動ができる場所としての公園とアートを掛け合わせていきたいですね」

冠さん「理解はしなくてもいいが、認めて同じ場に存在していくということが、アートに触れていて⽣み出される感覚ですよね」

内海さん「⼩学校のキッズクラブと⽉に1回ワークショップをしています。造形の楽しさを体験できるのもさることながら、⼦どもにとってそれより⼤事なのは、⾯⽩いお兄ちゃんやお姉ちゃんと会って話すことだという気がします。ふだんは出会わない⼈や知らない⽣き⽅と出会うことが重要じゃないかと思ったりするんですよ」

塚原さん「全く同感です。私たちも、⼦ども向けのワークショップでは何かを作ったり体験したりも⼤事ですが、コミュニケーションに重きを置いています。アーティストとのその場でしか⽣まれないコミュニケーションが、⼦どもたちのいちばんの成⻑の機会になると思っています」

イベントの最後に、冠さんと内海さんが公園におけるアートの可能性についてまとめのコメントをしてくださいました。

冠さん「芹ヶ⾕公園でもアンデパンダン展ができるといいですね。アートに接したことがない⼈でも、そういう機会が芹ヶ⾕公園であれば、表現したい⼈はたくさんいると思います。⾃分とは違う感性や表現を認める、同居する体験って⾯⽩いんじゃないかな。アートは答えがないからこそ、平等にみんなで話ができるもの。本来はそういうものを抱き込めるのが公園であり、パブリックであり、コモンだと思います」

内海さん「芹ヶ⾕公園の⾯⽩さは、いろんな場所があること。誰かとつながることもできるし、つながらなくてもそれぞれの場所でいろんなことができそうですよね」

参加者の声

オンラインイベント開催中には、参加者の皆さんからチャットでたくさんのコメントが活発に寄せられました。その⼀部をご紹介します。

●公園で「できること」を取り戻すこと、「規制との綱引き」に興味があります。

●遊びの中で「規定されないもの」に出会えるって豊かですね。

●⼦育てしていると感じますが、⼦どもは騒いでしまうこともあって、美術館から⾜が遠くなってしまっているママさんも多くて…。公園遊びは⽇々⾏くので、公園にアートがあると⾝近にも感じるし、⼦どもたちも⼈⽣の⼤切な時期にアートに触れられるなぁ。豊かなことだなって思います。

●実家近くの街区公園にカエルのオブジェがあって、⼦どもの頃は正式名称ではなく「カエルの公園」と読んでたことを思い出しました。特⾊の出しづらい街区公園では特に、⽼若男⼥が直感的に認識できるシンボルとしても意味があるのかなと感じます。

●公園の遊具は⼦どもが遊ぶものというイメージがありますが、アートの場合、さまざまな年代の⼈が⾃らの解釈でそのオブジェなりアートと向き合って遊べるんだなと気づかされました〜! 個⼈個⼈がひっそりと感じているパブリックアートに対する解釈や遊び⽅が、どこかのタイミングで共有されたり、⼀堂に介して閲覧できたりしても楽しそうだなと思いました。

●先⽇セミナーで、北川フラムさんが「『アート』の⽇本語訳(美術)がそもそも極⼩化していて、本来『アート』は⽣活や⽂化を離れて存在するものではない。」意味の話をされて⾮常に⽬からウロコでした。もっともっとアートを⾝近に配置していくべきだと思います。

●版画美術館で、「⽂学館ことばらんど」のように本が借りれたらいいなと思いました。展⽰されているアートに関する本が借りれたり、公園の植物や昆⾍が調べられるような図鑑が借りれたり。主に⼦ども向けの本。

●公園での「アンデパンダン」開催、(運営や作品管理等の整備も必要と思われますが)良いですね!

◎町⽥パリオからの最新情報はこちら

町⽥パリオでは、3階「ギャラリー・パリオ」において、毎⽉、町⽥ゆかりのアーティストの展⽰会「パリコレッ!ギャラリー」を開催しています。ぜひ⾜を運んでみてください。

有志による公園活⽤実験企画会議「アジト」に参加しませんか?

Made in Serigaya では、引き続き社会情勢を鑑みながら、オンラインやオフラインで芹ヶ⾕公園の未来の活⽤を考えるイベントを開催していきます。そこでいただいた市⺠のみなさんからのアイデアを実現に向けて検討していくために、実際に芹ヶ⾕公園でやりたいことを⼩さく試してみる「実証実験」も並⾏して⾏なっていきます。

この実証実験の企画を考える作戦会議「アジト」を、隔週1回・オンラインにて開催しています。アジトの活動にご興味のある⽅、また、「芹ヶ⾕公園でこんなことをやってみたい」という⽅は、気軽に下記のメールアドレスまでご連絡ください。⼀緒に⾃分たちの⼿で芹ヶ⾕公園の未来をつくっていきましょう!

▼Made in Serigaya お問合せ先 made.in.serigaya@gmail.com

◎今回のスペシャルゲスト

冠 那菜奈(かんむりななな)さん
Tiarart.com 代表/アートメディエーター

1987年東京⽣まれ。武蔵野美術⼤学芸術⽂化学科卒業。在学中から、様々なメディアを駆使し、「ヒト・モノ・コトをアートでより良い形でつないでいく媒介者=アートメディエーター」になることを⽬指し、フリーランスとして活動中。
距離や時間、分野を越えてリアルでクリエイティブな繋がりをつくっていくため、それぞれのニーズに合わせて企画やコーディネート、マネージメント、広報・PR、司会、ライティングなドを担当。
主な活動・企画としてフジテレビ特番アートバラエティ番組「アーホ!」のアーティストキャスティング・コーディネート、としまアートステーション構想、寺⽥倉庫アート事業コーディネートなどがある。2019年にアーバンデザイナー・兼平翔太、建築エンジニア・鶴岡諭と共にクリエイティブユニット「Urban Knit」を⽴ち上げ「⽴⾶パブリックアートアワード2020」を受賞し、2020年4⽉⽴川にオープンしたGREEN SPRINGS にてパブリックアート作品を設置。
http://www.tiarart.com

内海 潤也(うつみじゅんや)さん
⻩⾦町エリアマネジメントセンター/キュレーター

1990年東京都⽣まれ。現在は⻩⾦町エリアマネジメントセンターでキュレーターとして活動。2018年東京藝術⼤学⼤学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻修了、ラリュス賞受賞。国際展、ジェンダー、政治に関⼼を向け、現在は主に東南アジアの現代アートをリサーチ。「NOddIN 4thExhibition: UNLEARNING もう⼀度忘れ直す」(2019年、横浜)、「⻩⾦町バザール2019−ニュー・メナジェリー」(2019年、横浜)、「Koganecho inWonderland」展(2019年、ソウル)、「⻩⾦町バザール2018 ‒フライング・スーパーマーケット」(2018年、横浜)、「⻩⾦町反射町 nwoT noitcelfeRdloG」展(2018年、台北)、「スイッチルーム」展(2018年、東京アートフェア2018)などをキュレーション。そのほかにも「リサーチプロジェクト:町に残るアートとコロニアリズムの跡」(2019年、ジャカルタ、横浜)や「《S/N》上映会&トークセッション」(東京、2017年)などを企画。美術⼿帖への寄稿など執筆も⾏う。

COLLABORATION PARTNER