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【レポート】「公園の未来」を面白がる会(CASE:町田市・芹ヶ谷公園)

2019.11.01

町田駅から歩いて15分ほどの所にある、総面積約15万㎡の広大な「芹ヶ谷公園」。1982年の開園から、町田市民には3世代に渡って愛されてきた公園です。日本全体で人口減少が進む中、転換期を迎える郊外都市 町田のこれからの魅力化のためにも、市はこの芹ヶ谷公園を再整備していこうとしています。

「多くの人に愛されている公園だからこそ、皆に自分の公園だと思って力を貸してほしい」。そんな思いから、町田市は、この公園に関心を寄せる人々と一緒に再整備計画を考えるイベント「面白がる会」を開催することにしました。

9月の第1回は、芹ヶ谷公園にある町田市立国際版画美術館の講堂を会場に、公園内のフィールドワークも交えながら課題を見つけるという内容で実施。子どもからご年配の方まで大勢の町田っ子が参加し、活発に意見を出し合いました。ここで出た課題に対して、11月には同会場で第2回を開き、その解決アイデアを皆で考える予定です。

>> 第1回のレポートはこちら

さて、10月は番外編。今回は、町田市民ではない人々にも知恵を借りようと、場所を変えて東京の茅場町にて開催しました。イベントが告知されるや否やあっという間に満席になったことから、公園再整備への注目度の高さが伺えます。建築関係者、公園の管理事業者、有識者、大手ディベロッパー、面白がる会ファンなど、都心ならではの顔ぶれが集まったこの日の様子をレポートします!

芹ヶ谷公園をなぜ再整備するの?

町田市ウェブサイトよりhttps://www.city.machida.tokyo.jp/bunka/park/shisetu/park02.html

芹ヶ谷公園は、昔から商業の街として栄えてきた町田の中心市街地(駅前のショッピングビルや商店街が集まった一帯)の近くにあり、「谷」と名の付く通り、元々の谷戸地形と雑木の森を生かした自然豊かな公園です。

その中に、多目的広場や大噴水、アスレチックができる冒険遊び場、遊歩道などが配置され、園内でホタルやカブトムシなども見ることができます。南側には、日本では珍しい版画専門の「町田市立国際版画美術館」があり、2019年10月には北側に新たに「芹ヶ谷公園グラウンド」もオープンしました。

この公園を、なぜ今、もう一度整備する必要があるのでしょうか?

「面白がる会」は、オモシロガリスト唐品知浩(からしなともひろ)さんが全国各地で100回以上開催している「課題解決型アイデア出し」イベント。見過ごせない社会課題などについて、慣例や常識に捉われず、新たな視点で自分事として考える場だ。人の意見を否定しない、難しい言葉・専門用語を使わない、偉そうにしない、思いついたアイデアはどんどん発表する、が4つのルール。

会の初めに、ファシリテーターである唐品知浩さんから、今回の再整備計画の背景についてお話がありました。

公園を取り巻く環境が変化している

唐品さん:「昔と今とでは、公園の事情が変わってきているんですよね。最近の子ども達の遊びと言えばゲームやスマホ、出かけるのはショッピングセンター。近所の空き地で遊んでいた僕ら親の世代とは遊び方が違います。公園で遊ぶ子どもが減っている一方で、今ある公園のほとんどは大人のニーズに合っているわけでもありません。

また、公園での禁止事項が増え、ボール遊びをしちゃいけないとか、大きな声を出しちゃいけないとか、行動を制限する看板が設置されていることが多くなりました。少子高齢化で税収も減少する中、公園を維持・管理するための財源確保も課題になっています」

こうした社会の変化に合わせ、2017年6月には都市公園法が改正されて、公園内に、社会福祉施設や民間事業者による公共還元型の収益施設(保育園やカフェなど)を設置できるようになりました。つまり、公園内の施設で収益を上げ、そのお金を公園の維持・管理に回していこうという考え方です。

本当に望まれている公園とは?を問い直す

芹ヶ谷公園内にある町田市立国際版画美術館(1987年開館)

そんな中、町田市は2013年に、未来のまちづくり構想の中で、誰もがもっと文化・芸術を楽しめる環境をつくろうという政策を打ち出しました。その一環として、2015年に公園内に新たに国際工芸美術館(仮称)を建設する(2019年6月に閉館した市立博物館の貴重なコレクションの展示場所も兼ね)ことを決定しましたが、この計画は、2016年に財政上の理由で延期となりました。

こうした出来事を経て、建物をつくるというだけでなく、街なかとの関わりまでも含めた芹ヶ谷公園全体のより良い姿を考えていこうという動きが始まったのです。

公園の新しい使い方のヒント

伊藤雅人さん(株式会社日建設計)は、日建設計の新規事業部であるパブリックアセットラボにて、都市公園や街路をはじめとするさまざまなパブリックスペースの計画から運営までをトータルプロデュースする事業に取り組んでいる。

今日の「面白がる会」では、芹ヶ谷公園の新しい使い方アイデアを皆で考えるにあたって、ハード(建物)の開発ではなく人を中心にしたソフトウエアの力でのまちづくりを提案している「ULTRA PUBLIC PROJECT」(ユニットメンバー:Rhizomatiks Architecture、ティー・ワイ・オー、電通ライブ、日建設計、プロペラ・アンド・カンパニー)の1人である伊藤雅人さんに、事例となる取り組みについてお話ししていただきました。

ひらけばそこが、未来の公園。「PARK PACK」

写真提供:ULTRA PUBLIC PROJECT

2018年10月にTokyo Midtown DESIGN TOUCHで実施され話題を呼んだ“動く公園”「PARK PACK」をご存知でしょうか? コンテナの中にいろいろなツールを詰め込んで公園に置き、利用者がそれを使って、思い思いに遊びやアクティビティをつくり出すことができるという、公園の新たな可能性を広げる試みです。伊藤さんはこのプロジェクトに、企画段階から参加していました。

伊藤さん「PARK PACKは、従来の公園に設置されている、すべり台・ブランコ・砂場などの固定的な遊具とは全く違う発想です。東京ミッドタウンの芝生広場にもいくつか禁止事項が掲示されていますが、PARK PACKの期間だけは行動やアクティビティを推奨するようなサインを工夫して設置し、アクティビティの材料となるような最小限のツールをコンテナに用意しました」

PARK PACKは東京ミッドタウンでの実験期間終了後、現在は渋谷川のほとりで企業のプロモーション用施設として使用されている。Via:https://ultrapublic.jp/parkpack/

コンテナの中に入っているのは、組み合わせていろんな形をつくることができる薄い板。それを置いてみたところ、公園の利用者が、自分でその板を組み立てて椅子やテーブルをつくったり、テントみたいなものをつくったり、洋服みたいなものをつくって着てみたりと、いろんなことをし始めたそうです。

伊藤さん「そのうち、ピアノを演奏する人が出てきたり、夜に弾き語りライブを始める人が現れたり、ワークショップをしたいという人が現れたり、皆が自発的に自分の持っているコンテンツを持ち寄って楽しみ始める、ということが起こりました」

自発的なクリエイティビティを引き出す仕掛けが、公園を面白い場所へと変えたポイントだったようです。

企業も個人も、できることや楽しみを持ち寄って

資料提供:伊藤雅人さん(日建設計)

唐品さん「公園を持続させるために、公園でどう稼ぐかがすごく難しい。結局はカフェとか、人を呼ぶ建物をつくることになりがちですよね」

伊藤さん「『PARK PACK』では、東京ミッドタウンでやった時は使用料は取っていないんです。企業協賛もお金じゃなくて、人員や物の提供という形で、各社が出せるものを持ち寄ってやりました。収益を増やすより、まず支出を減らすのが日本の公園の課題じゃないかと思います」

唐品さん「企業も個人も自分が持っているスキルやリソースを公園に提供して、皆で支出を減らしていくという取り組みですね。例えば企業なら、公園内にWiFiを提供して、代わりにその画面に控えめに広告を出す、ということもできます。

一方で公園の個性も大事ですよね。子どもはすぐ名前を付けるでしょう、鎖があったら『鎖公園』、壁があったら『壁公園』とか。今の風潮でいくと集客できる公園が良しとされがちだけど、『○○なら、あの公園』みたいな個性も必要だと思う」

伊藤さん「そうですね、集客があってカフェが成り立つ公園じゃないと救えない、という話ではない未来が望ましい。八王子の長池公園にとても素敵な絵があるんです。いろんなことを禁止する看板の代わりに、そこには老若男女、大人も子どももお年寄りも、好きなように思い思いに公園で過ごしている様子が描かれていて、これが理想的な姿だなぁと感動したんです。いろんなプレイヤーが活躍できる公園になると良いですね」

こうした背景や活用事例を聞いた後、いよいよチームごとに芹ヶ谷公園の新しい使い方を考えるアイデア出しが始まりました。記録する画用紙が足りなくなるほど白熱した会議の成果をご紹介します!

【Aチーム】

●使い方アイデア
企業の展示室/たき火/焼き芋など皆で何かを持ち寄って焼パーティー/虫めがねで餅を焼く、マシュマロも/学校をしたい/サーカス、パフォーマンス/とにかくデカイものをつくる!(皆で協力して)/公園で働きたい(コバカバパーク)皆会社に行かなくてOK/WiFi(超強力なの)/皆で協力してWiFiの塔をつくる/泊まる、公園を庭にする/キャンプのテントを並べる/ティピ/食べられる公園/農家の畑か直売所、生産→食べる所まで全部できる/作物の取引(社会の縮図が学べる)/子どもの面倒を見てくれる人がいると良い/住む(管理人)=公園コーディネーター、日替りでも◎/動物を飼う(雑草を食べる)/ラフティングやSUPの水遊び/お酒をつくる(芹ヶ谷ビール)/子どもだけで遊べるエリアをつくる/泥んこになって遊びたい(大人も!)ユニクロ+洗剤メーカースポンサー/泥んこスポーツ・鬼ごっこ/池は主がいる感じがして怖い(ゆるキャラをつくる?)/公園お化け屋敷、肝だめし presents by 子ども達、シニア/ホームレスや認知症の人がこれるような、面白がれるような仕組みを考えたい/雑草おじさん(食べられるものを見極めてくれる)/車椅子レース/大将棋大会(自分がコマになる)/炊き出し選手権、ワールドカップ、インターナショナル炊き出し/シニアの社交場(管理人が集める)

唐品さんコメント「公園内がコワーキングスペースになっているというのは良いですね。仕事の日は電車に乗って都心に行くのではなく、公園に行く。リンゴの木とミカンの木のオーナー同士が収穫した実を取り引きするというのも面白い」

【Bチーム】

●使い方アイデア
ライトアップ(夜の公園活用)/グランピング(夜のお楽しみ)/サバイバル公園(陣取り合戦、サバゲー)/でっかい穴を掘る(井戸もあり!土器を見つけるもあり!)/家をつくる(災害時に備えてサバイバル技術を身に付けよう)/キャンプファイヤー(とにかく物を燃やす、お焚き上げ、すべてを無にする)/虫を食べる(食糧危機を救おう、雑草もあり)/サウナと水(サウナで温まったら噴水へ直行)/公演の好きな所で皆で静かに本を読む/木のオーナーになる

唐品さんコメント「木のオーナー制度は面白いですね。桜の季節は自分の木下でお花見ができるなんて最高ですよね。このチームは公園に住み始めてますね。サバイバル公園で虫を食べる子どもが増えそうで、親としては心配です(笑)」

【Cチーム】

●使い方アイデア
もぐら生活(どんどん穴を掘る、どんどん広がる。会員制で特別感)/太陽光キッチン(ぐりとぐらのホットケーキを作って食べる)/公園学校(壁は要らない、ぶっ飛んだ建物、囲まれていない開放感)/いたずら企業の落とし穴/食べれる公園/ツリーハウス団地/勝手に登らせてくれる超ハイテクな木/木登りの森(ハイテク登り・アナログ登り)/公園全体に柔らかくふかふかしたものを敷く/火が使える/秘密基地をつくり続ける/公園でお葬式、皆で参加!明るい、安心、前向き!/おじいさん・おばあさん(60才以上が主役)のムーディーな社交場/皆でつくるコミュニティカフェ/誰でも使えるよりどころをつくる/自由に絵を描ける/パフォーマンスができる場がほしい/エレベーター付きVIPなツリーハウスホテル/カブトムシのキャッチ&リリース/建築的な落ち葉ため場(皆が落ち葉を集めたくなる。カブトムシおじさんも関わりたい)

唐品さんコメント「これからは町田でカブトムシを育てて売る、という時代が来そうですね。公園が学校というのは良い。いつも同じ室内で同じおもちゃで遊ぶのはつまらない。公園でいろんな遊びや学びができると、教育的にも良いですね」

【Dチーム】

●使い方アイデア
子どもは日常、大人は非日常/開放区/今月の○○放題/子どもらしさを取り戻すしつけ/子どもを安心して放牧/農園/キッチン(BBQ以外)/子どもビアガーデン/羊・ニワトリVRでハンティング、動物を捕まえる/穴を掘りたい!人が埋まるくらい/アリの巣公園/モグラ探し・育て/土・草とたわむれる with シャワーとビール/泥にまみれたい!/泥汚れ対応コインランドリー/絵の具使い放題(自由に落書きエリア・通路)/チョーク使い放題(いろんな色で)/画材使い放題(メーカー提供・月替り)/落書き洗浄イベント(メーカー提供)/公園で生まれたアートを展示する美術館/人間版画&シャワー・ビール/アートの転移事情・展示会/屋外トレーニングジム(シャワー・ビール・プロテインは有料)/聴きたい時に聴けるFMラジオ局(公園専用)/ピアノ/歌える・踊れるステージ/しつけ教室(犬・人間)/ドッグラン/土間・和(半分外、半分中)/いろり(皆でごはんを)/エリア分けテーマ別/フリーレンタルスペース/有料ゾーンと無料ゾーン/中央にシャワー・ビール

唐品さんコメント「今日は空前の穴掘りブームが来てますね! 5チーム中4チームが掘ってます。泥んこになっても公園にお風呂やコインランドリーがあるというのは良い。うちも子どもと出かけると銭湯を探して、子どもをきれいにしてそのまま寝かせるということをよくやります。コインランドリーは洗剤メーカーがスポンサーになってくれると良いですね」

【Eチーム】

●使い方アイデア
雨の日限定でウォータースライダー/雪を集める公園/お寺みたいな公園(気軽さ、お師匠さんがいる)/巨大ソファでリラックス公園/カラフル砂場/ワクワクさんがいる公園/ボール遊びだけOK公園/青空ゲーム大会(巨大スクリーンでスーパーマリオ)/皆の菜園公園/穴掘りOK公園(穴掘りグッズがある)/メトロ公園/屋上公園/ビルの10階だけをつなげた10フロアパーク/相撲パーク/毎日運動会/コカコーラパーク(大競技実験)/ヌーディスト公園(日焼け、一面芝生)

唐品さんコメント「『ワクワクさん』ほしいですね! 雨の日や雪の日というマイナスをプラスに転化するアイデアもとても良いと思います。公園が菜園になっているというのも良いですね。非常時に何日かしのげる食糧を育てているとなれば、皆で大事にするんじゃないでしょうか」

参加者の声

最後に、参加者に今日の感想を伺いました。

岐阜からわざわざ来て下さった、公園の管理をしている業者の方は、

「いろんな人が参加されていて、同業者の方に会えたのも良かった。公園をただ単に管理していくというだけでなく、もっと皆に楽しんでもらえるような場所にしていきたいと考えていたので、今日はとても参考になりました」

都内の大手マンションディベロッパーにお勤めの女性は、

「今日は自分自身が存分に面白がれました。公園でお葬式とか、公園をおじいさんやおばあさん達の出会いの場に、というアイデアは常識的な仕事の範囲ではタブーかもしれませんが、今日の場だからこそ出てきたアイデアだと思います」

都内で建築関係のお仕事をされている男性は、

「公園の話をする中で、やはり皆、童心に帰りたいんだなぁと感じました。子どもにもそうさせてやりたいですよね。公園の中で、そういう世代の循環みたいなものが生まれるといいなと思いました」

「面白がる会」に出てみたかった、というこちらの男性は、

「日頃は建築関係の会社で商品開発をしているんですが、なかなかここまでぶっ飛んだアイデアは出せないですよね。今日は我慢していたのを思いっきり出せて楽しかったです」

千葉で、空き地を利用してイベントを運営している女性は、

「お金を取らずに皆が楽しめる方法も必要だけど、これからの公園には収益も必要なんだと思いました。持続可能で、使う人が増える仕組みを考えていかないといけないですね。

今ある公園の多くは街の人が欲しているものからはかけ離れていて、誰の意見も聞かずにつくった結果なんだと思います。これからの公園を、誰かがやってくれる、じゃなくて、自分達、皆でつくっていけたら良いなと思いました」

今日の「町田を面白がる会 -芹ヶ谷公園の新しい使い方を考える編-」には、建築業界や不動産業界、公園管理のプロも多く参加していましたが、皆さん現実的な課題をしっかりと認識している立場でありながら、日頃の業界の常識を外して思い切りアイデア出しを楽しんでくださいました。

そして、改めて公園の未来を自由に考えようとした時、こうしたプロの方々もいつの間にか童心に帰っていく様子が印象的でした。「べき」や「ねばならない」ではない、私達が本当に楽しむための芹ヶ谷公園のあり方を、子どものような気持ちを忘れずに考えていきたいですね。

次は11/4に国際版画美術館にて、「第2回 町田を面白がる会 -芹ヶ谷公園の新しい使い方を考える編-」を開催します。

▶︎詳細:https://machida.life/community_planning/700/

9月の第1回で出た課題に対して、番外編での参加者のアイデアも大いに参考にしながら、解決策となるような新しい使い方を皆で考えていきます。たくさんの方のご参加を楽しみにお待ちしております!

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